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藤田医科大学の傾向分析2019

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藤田医科大学2019

2019年度一般入試問題分析

英語

試験時間90分。前半の大問3題がマーク式,後半2題が記述式という珍しい大問構成。全体として前年度よりもやや難化。文法系の問題は全体に標準レベルでしっかり得点する必要がある。大問3の長文問題に時間を使いすぎると,後半の記述問題が手つかずになる可能性がある。記述式の長文問題については,英文自体の語彙,表現の難易度が高めで,国公立二次レベルと言ってよい。記述量が多いので,素早く根拠となる記述内容を絞りこんで解答する力が求められる。大問5の英文中の下線部英訳問題については,今年度も「日本文化」に関する英文が出されている。文中の英語表現をうまく利用すれば和文中の日本語に対する訳語に悩む必要はないが,本文自体に目を通す時間を確保するには速読力が鍵を握るだろう。全体として処理力と記述力の有無で大きく点差のつく問題である。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

適語補充:文法・語法

文法・語法の知識を問う4択問題が6問。レベルとしては標準。

2 マーク ★★★☆

語句整序:文法・語法

短文中の空所(7個)に選択肢(7個)の語を並び替えて,和文に相当する英文を完成させる問題が4問。標準レベルの問題が多いが,一部難度の高い問題も含まれる。

3 マーク ★★★☆

長文総合:内容一致,適語補充

DCDC2という遺伝子が言語の変化に及ぼす影響に関する英文。対立遺伝子(allele)への言及があり,生物選択者と物理選択者では解答時間に大きく差が出る内容といえる。問1は語句の意味を説明した和文の4択問題,問2は空所補充4択問題,問3は説明文(5択)から2つ選択する問題,問4は空所補充4択問題,問5は内容一致問題(5択から2つ選択)。

4 記述 ★★★☆

長文総合:要旨・要約,段落挿入,和訳

エアロゾル排出規制による温暖化の促進に関する英文。英文自体の語彙,表現の難易度が高めで,話題そのものもあまり慣れのないものであったと思われる。解答そのものはシンプルに仕上がるように配慮されているが,大きな段落構成を捉えて記述内容を絞り込む作業まで踏み込む時間を確保するのは難しい。

5 記述 ★★★☆

長文その他:下線部英訳

日本の陶器に関する英文中に設けられた和文の下線部英訳問題。文中の英語表現をうまく利用すれば「茶道」「茶会」「陶器」「食器」「椀」といった日本語について訳語に悩む必要はないが,英文としての構成などに工夫がいる。

数学

小問集合1問,大問2問の計3問で100分の形式が続いている。小問集合は10問程度あり出題分野は幅広く難易度はさほど高くない。2019年は2018年よりも得点しやすい問題が揃っている。2018年に引き続きデータの分析からの出題もあるので注意しておきたい。大問は2018年に比べるとやや易しくなったが最後まで解ききるのは難しい。昨年同様に誘導問題がつけられておりそこでどれくらい食い込めるかの勝負となる。また2018年に引き続き証明問題が存在感を持つようになった点も押さえておきたい。2019年は全体的にやや易化し取りつき易いセットとなったがそれだけに大問での記述力が大いに要求される形となった。小問集合の標準的な問題で確実に得点し大問で少しでも点を取っていくことが必要である。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

小問集合

様々な分野から10問。典型的で解きやすい問題が多く,2018年度より 域を求めさせ,その面積,回転体の体積を求める問題やや易化した。

2 記述 ★★☆☆

図形と方程式:不等式の表す領域

円の通過領域を求めさせ,その面積,回転体の体積を求める問題。

3 記述 ★★★☆

数列:数学的帰納法

k乗和(k=1,2,4)の式を証明する問題。

化学

昨年から1問減って大問6題の出題。難易度は例年並み。大問1は緩衝液で標準的。大問2は電気分解で難易度は標準的。大問3は小問集合で全体的に易しい問題が多かった。大問4は不純物の除去で標準的。大問5は有機の小問集合で標準的。大問6は合成ゴムとコロイドで標準的。内容は標準的でも問題文を注意深く読まなければ解けない問題が混ざっている事,60分でこなすには問題の文量が少し多い事から高得点は取りにくかったと思われる。それでも合格には70%程度の得点率は欲しい(合格者平均は67.4%)。幅広い分野から出題されることから,全範囲をくまなく学習し,苦手分野を作無くす必要がある。問題の分量が多いので,時間をはかって実際の過去問に取り組み,時間配分の感覚をつかんでおくと良いだろう。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

緩衝液

酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液の典型題であるが,pH計算はlog1.75とlog2の値しか与えられておらず,それが使えるように変形する必要があった。ほとんどの受験生は対策できている問題であろう。

2 記述 ★★☆☆

電気分解

問2の問題を見て溶液中のCu2+がすべて反応し尽くしてしまうことに気づいたかどうかが勝負の分かれ目である。問2の問題文を読み間違えて陽極で発生した酸素の体積を求めてしまうとアウトである。受験生の注意力を判定しているかのような出題で差がついたであろう。

3 記述(選択式) ★☆☆☆

無機小問集合

問1は電子式が書ければ解ける。問2はコロイドの正誤で難しくない。問3は気体の製法で対策できている受験生にとっては簡単。問4はFeイオンの性質の正誤問題だがこれも難しくないので,どの問題も落としてはいけない平易な内容である。

4 記述(選択式) ★★☆☆

不純物の除去法

以前から藤田医大の問題としてよく出題される不純物を除く方法を考える問題で,除きたい物質のみが化学反応するものを選べばよいのだが,(1)についてはそのような選択肢は⑨ しかない。しかし,KMnO₄の酸化力が強いのでエチレンは気体のCO₂になってしまい,それがまたエタンに混じることから解答として本来は相応しくない出題である。それ以外については標準的な内容なので落とさず得点したい問題である。

5 記述 ★★☆☆

有機小問集合

(1)はエステルの異性体の数え上げで,ベンジルアルコールとギ酸のエステルを忘れやすい。(2)は油脂の不飽和度計算で,構成脂肪酸の不飽和度を3倍して油脂の不飽和度に直すのを忘れやすい。(3)はフェノールからニトロフェノールではなくピクリン酸(2,4,6 ‒トリニトロフェノール)が生成することに気づかない受験生もいただろう。いずれも間違いやすい箇所を含むので差がつきやすい問題といえる。

6 記述 ★★☆☆

合成ゴム,コロイド

ゴムに関する知識問題およびSBRに対する臭素付加量を求める問題であった。どの問題も標準的難易度であるが,合成高分子は苦手としている受験生も多いので,得手不得手の差が出やすい問題だろう。

生物

昨年同様,標準レベルの問題でバランスよく構成されており,実力がきれいに反映されそうな出題である。目標は70%。大問1は「血液」を扱っており,計算問題や論述問題にはやや思考力を求められる。大問2は「発酵」がテーマとなっており,生物学的な常識をふまえて答えを推測しなければならない論述問題がやや解答しにくいかもしれない。大問3は近年では定番化した「グルコースの輸送」の問題で,取り組みやすいだろう。大問4は「バイオーム」を扱っており,「暖かさの指数」についてはやや細かい知識が問われている。全体的に形式・内容ともにオーソドックスな出題であるため,特別な対策よりも,基礎的な知識の理解をどれだけ深められるかが勝負だろう。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

生物の体内環境の維持

体液の組成とはたらき,免疫。論述、計算問題あり。

2 記述 ★★☆☆

生命現象と物質

酸素を用いない呼吸。論述問題あり。

3 記述 ★★☆☆

生物の体内環境の維持

自律神経とホルモンの協調,生体膜の構造とはたらき。論述問題あり。

4 記述 ★★☆☆

生物の多様性と生態系

気候とバイオーム,日本の水平分布・垂直分布。論述問題あり。

物理

問題数は29問で例年並み。グラフなどの描図問題が例年1問程度出題されている。大問数は例年4問,力学が2問出題される。大問1は力学の標準的な問題。物体が滑らない条件を定義どおりにかければ完答できる。大問2はモル比熱の定義を問う問題。基本的な問題なので,完答したい。大問3は抵抗率の温度依存性を用いた温度測定と,ホイートストンブリッジを用いた測定回路に関しての考察問題。高精度の測定回路ではホイートストンブリッジ回路を利用すること多い。標準的な内容ではあるが,ホイートストンブリッジであることに気づかないと完答は難しいだろう。大問4はやや難易度が高い。しかし重心系の考え方を知っていると易しく,類題に取り組んだことがあるかどうかで差がつく。大問4以外は基本的な問題ばかりで解きやすい。ただし,分量が多いので基本的な問題を素早く解く力を求められる。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

力学:力のつりあい,様々な力

 

2 記述 ★☆☆☆

熱:気体の内部エネルギー

 

3 記述 ★★☆☆

電磁気:非線形抵抗

 

4 記述 ★★★☆

力学:単振動,はね返り係数

描図問題あり。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2019年度 1,549名 非公表 261名 312/600 52.0%
2018年度 1,953名 非公表 253名 非公表/600 -
2017年度 1,985名 502名 293名 335/600 55.8%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2019年度 93.8% 96.5%
2018年度 88.2% 91.7%
2017年度 89.0% 91.2%

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