医学部受験一筋医学部進学予備校メビオ

東海大学医学部の傾向分析2021

2021年度一般入試問題分析

英語

試験時間70分。大問構成、問題量及び全体としての難易度はいずれも例年並みであった。大問別に見ると、文法・語法問題や長文問題は基礎的なものがほとんどであったが、大問8の英訳問題が例年より難易度が高かった。問題量と試験時間を考慮すると、相当な処理速度が要求される試験であり、記述問題が合否を左右するであろう。

大問 形式 難易度 内容
1

マーク

★★☆☆

【長文総合】適語補充

「交通信号の歴史」に関する英文。総じて内容、設問ともに特に難しいところはない。

2 マーク ★★☆☆

【文法・語法】適語補充

典型的な出題内容で、しっかりと学習していれば得点しやすい設問であった。

3 マーク ★★★☆

【語彙】同義語

やや高度な知識を必要とする設問が含まれる。知識に加え、文脈の中である程度の語義類推が可能なものも含まれていた。

4

マーク

★★☆☆

【会話】内容一致

2つ目の会話は受験生にとっては馴染みのない内容だったと思われるが、設問の根拠は見つけやすかった。

5 マーク ★☆☆☆

【文整序】

与えられた4つの文を適切な順番に並べ替える問題。ディスコースマーカー(also、 howeverなど)、this/theなどの指示語表現、語句の言い換えなどを判断基準にして答えを出せる。

6 マーク ★☆☆☆

【ヴィジュアル】内容一致

与えられたデータを正確に読み取る力を試す問題だが、特に難しさはなかった。数値の読み取りには注意したい。

7 記述 ★★☆☆

【和訳】

「ギョベクリ・テペという古代遺跡」に関する英文中の2カ所を和訳する問題。構造に従って素直に訳すことで解答を仕上げることができた。

8 記述 ★★☆☆

【英訳】

「最年長メダル受賞者」に関する英文中の2カ所の日本語部分を英訳する問題。文中に利用できる表現はあるが、英語らしい表現を使いこなさないと書きにくいところもあった。

数学

試験時間70分。難易度、問題量ともに大きな変化は見られない。大問数、出題形式も安定している。やや難しい問題が含まれるが、そこを飛ばしても次の設問が解けるところがある。それらをしっかり拾えるかどうかで差がついただろう。奇をてらった出題もほとんどなく、入試基礎〜標準レベルの入試問題に数多く取り組むことが一番の対策と言えよう。

大問 形式 難易度 内容
1 答のみ ★★☆☆

【小問集合】

標準的な問題が並んだ。できれば取りこぼしたくないが、分量は多めなので要領よく乗り切りたい。

2 答のみ ★★★☆

【複素数平面】複素数の図表示

中身はごく標準的な問題なのだが、与えられる条件が多いために題意をとるのに戸惑った受験生もいるだろう。差がつきそうな問題である。

3 答のみ ★★★☆

【積分法】数列・級数と定積分、定積分と不等式

「区分求積」と「積分と不等式」の融合問題。誘導は丁寧だが、難易度は高く時間内に完答するのは難しいだろう。なお、枠については(i)〜(iii)の誘導を利用しなくても結果は出せる。

化学

試験時間70分。2日ある日程のどちらについても、大問5〜6題という構成に変化はなかった。なお、2日ある日程のうち、2月2日の問題の方がやや得点しやすい内容であったと思われる。一題ずつは決して難問ではないものの、計算量は少なくない。選択肢問題であるという特性を踏まえて要領よくこなしたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク・記述 ★★☆☆

【気体の法則】蒸気圧

苦手な受験生も多い蒸気圧をからめた問題であったが、問われている内容はいずれも標準的なので、ここでの大きな失点は避けたいところ。問3は各容器の体積と中の気体の物質量の関係から、直感的に答えを導けた受験生もいただろう。計算問題はグラフから読み取った数値を用いる必要があったが、いずれの設問も「最も近いものを一つ」選べばよいので、適切な選択肢の検討をつけながら計算を進められるとよい。

2 マーク・記述 ★☆☆☆

【無機各論】【溶液】【化学平衡】銅、溶解度、溶解度積

問われた知識は基本的な内容。溶解度計算は数値が面倒だが正解したい問題。溶解度積についても初めの濃度計算さえ間違えなければ正答にたどり着けるだろう。出てくる数値がややずれているが最も近い値を選べばよい。

3 マーク・記述 ★★☆☆

【熱化学】

問1のヘスの法則を英語で答える問題はびっくりした受験生が多いだろう。それ以外の計算は標準的。

4 マーク・記述 ★☆☆☆

【脂肪族化合物】【糖】異性体、構造推定

異性体の数え上げおよびC4H10Oの構造推定、グルコースに関する設問で、問3(2)のシクロデキストリンは見慣れない受験生も多かっただろうが、この大問は得点源にしたい。

5 マーク・記述 ★★☆☆

【脂肪族化合物】酒石酸

問1に関しては酒石酸の構造を知らないとエーテル結合の存在などを考えることになり戸惑うことになった。問2もフェーリング液が酒石酸ナトリウムカリウム(ロッシェル塩)と硫酸銅(Ⅱ)の混合液と知っていたら計算せずに解答を選べた。日ごろから図録を見ている生徒とそうでない生徒で差が出た問題である。

生物

試験時間70分。論述問題や計算問題が頻出であり、描図問題も出題されることがある。論述問題は、15〜80字程度の字数指定がある。大問5題が出題され、5題中2〜3題ほどは基本的な内容を中心に問題が組まれるが、残りの問題にはやや高度な内容が含まれることが多い。対策としては、日頃から偏りのない学習を心掛け、細かい知識にも注意を払うとよい。また、少ない字数で的確に表現する論述力、実験に対する考察力、図表を読み取る読解力、迅速で正確な計算力を身に付けて欲しい。計算問題では遺伝分野の出題頻度が高いことから、遺伝の計算問題は徹底的に学習しておくとよい。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

【生命現象と物質】遺伝情報とタンパク質の合成、タンパク質の構造とはたらき

プルジナーのプリオン説と、その実験に関する考察問題。セントラルドグマとプリオン説の比較が主題だが、問題の誘導に従って、丁寧に考察を進め、解答したい。

2 記述 ★★★☆

【生殖と発生】一遺伝子雑種、伴性遺伝と限性遺伝

遺伝病の発症確率を家系図から論じる問題。問1を除いてすべて確率の計算問題であり、遺伝の仕組み、家系図の読み取り、条件付確率の計算と、難易度が高い。

3 記述 ★★★☆

【生物の環境応答】ニューロンの興奮、その他の受容器

受容器および神経の興奮の発生に関する問題。教科書・図表を超える、非常に細かな知識を問う問題が散見された。確実に解答できる問題を解答し、時間をかけすぎないことが重要だと思われる。

4 記述 ★★☆☆

【生命現象と物質】バイオテクノロジー

遺伝子のノックアウトのCre/loxPシステムをテーマに、PCRの実験手法について問うた問題。失敗した実験はなぜ失敗したのかを問う問題の考察は少し難しいが、他はPCR法の標準的な内容である。ちなみに、ウイルス感染をPCR法で検査する題材が扱われた。

5 記述 ★★☆☆

【生物の体内環境の維持】免疫の応用・疾患

アレルギーと、マスト細胞のヒスタミン放出に関する問題。こちらも教科書・図表を超える知識を問うた問題があり、難易度が高く感じるだろう。実験考察問題は登場する物質は非常に多いが、丁寧に読み解ける力があれば十分完答可能である。

物理

試験時間70分。難易度は年度や日程によりばらつきはあるが、2021年度1日目の難易度は東海の試験としては平均的であった。他大学に比べると難易度は高いが、マークの問題に関しては解答が選べる分ミスはしにくい。私立や国公立の上位校で出される難易度の高い問題を出す傾向が強い。マーク形式の問題は5択問題であり、コツをつかむと難易度の高い問題でも完答することが可能。過去問を用いて感覚をつかんでおくと良い。また難易度の高い問題を無理に解こうとせず、手をつけていない問題を優先して解くよう心がけると必要な点数を取ることができる。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

【力学】剛体のつり合い、摩擦力

正方形の剛体のつり合いの問題。図を丁寧に描き、モーメントを正確に記述できるかがポイントになる。

2 記述 ★★☆☆

【電磁気】電磁誘導と誘導起電力、運動方程式

磁場中を落下するコイルに生じる誘導起電力についての出題。問題の設定は標準的なものであるが、(1) で求めた磁束密度の値をその後の問ですべて代入しなければならないなど、作業に慎重さが求められる。

3 マーク ★★☆☆

【熱】気体の状態変化、気体の内部エネルギー

熱サイクルの標準的な問題である。誘導が丁寧で解きやすい。後半がやや難しいが選択肢もあるので完答することは可能。

4 マーク ★★★☆

【原子】物質波と電子線回折

中性子干渉計についての出題。中性子ビームのビーム分離器を利用した量子干渉実験。(1) の幾何学的な関係の問でミスをすると、その後の問題で雪崩式に失点してしまう。その後の問は難しくはないが、文字数が多いので書き写しミスに注意したい。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2021年度 2,779名 311名 92名 非公表 -
2020年度 3,205名 339名 92名 非公表 -
2019年度 4,150名 387名 150名 非公表 -
2018年度 4,037名 391名 125名 非公表 82%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2021年度 87.6% 89.9%
2020年度 90.1% 93.2%
2019年度 86.2% 89.8%
2018年度 84.6% 84.4%

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