医学部受験一筋医学部進学予備校メビオ

愛知医科大学の傾向分析2021

2021年度一般入試問題分析

英語

試験時間60分。5年間全く同じ問題構成が続いており、難易度もほぼ一定である。全体の問題量は多く、時間配分への意識は非常に大切であり、戦略的に立ち回る必要がある。特に大問3の語句整序問題は、対応する日本語があるものの難易度の高いものが含まれ、深入りせずに後回しにすることも必要。また3つの長文のうち2つに内容一致が含まれる。時間短縮のためにも、それぞれの長文を解く際、まず設問全体に目を通し、内容一致がある場合は、本文を読み進めながら順番に選択肢を吟味していくことが肝要。長文は、医学生物系だけでなく、医学部受験生にはあまり馴染みがない内容が題材になることも多い。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【文法・語法】

会話空所補充形式の2カ所複合9択6題。文法・語法とともに語彙力が問われる。

2 マーク ★★☆☆

【語彙】

愛知医大独特の単語完成問題。日頃から、綴りを意識した語彙の積み上げが必要。

3 マーク ★★★☆

【語句整序】

対応する日本語がある語句整序3題。不要な語句が1つ含まれ、難易度は例年通り高め。試験序盤で、深みにはまって時間をただ費やすことは避けたい。

4 マーク ★★☆☆

【短文】語句挿入

愛知医大独特の単語挿入問題。3〜9行程度の英文中の空所(6〜8カ所)のうちいずれかに指定された語句を挿入する。

5 マーク ★★☆☆

【長文総合】空所補充、内容一致

「潜在意識の持つ力」に関する英文。適語補充は、文構造から品詞を特定することで、選択肢を絞ることができる。

6 マーク ★★☆☆

【長文総合】空所補充、同意表現、語句整序、内容一致

ある地域で発生した疾病への対処法を誤った医師の回顧録。適語補充(空所3/選択肢4)(空所4/選択肢6)は、前者は接続詞、後者は前置詞を補充するもので比較的解きやすい。

7 マーク ★★☆☆

【長文総合】空所補充

「お返しの効果」に関する英文。適語補充(空所4/選択肢5)は、選択肢に名詞が並ぶため、内容理解が鍵になる。確信が持てる箇所から慎重に決めていきたい。

数学

試験時間80分。2021年度は例年通り大問1が小問集合だったが、それに続く大問は3題から2題に減った。ただし問題兼解答用紙はA3で3枚と変わらず、それにより総分量が保たれているようである。難易度は、全体的に前年よりやや難化した。近年は、小問集合については難易度や設問数が一定していない。大問については証明問題などしっかりとした議論が必要であったり、典型問題だとしても受験生にとって手薄になりやすいテーマの出題が多い。やや発展的な内容を含む典型問題の演習、記述の訓練をしっかり積んでおくことが欠かせない。

大問 形式 難易度 内容
1 答のみ ★★☆☆

【小問集合】

4つの設問からなる小問集合。(1)無理方程式。同値性に注意が必要。(2)確率。易しい。2013年に同様な出題があった。(3)空間座標。四面体の体積を求めるオーソドックスな出題だが、頂点の位置関係の特殊性を利用すると処理を減らせる。(4)いろいろな曲線。楕円の外にある点と楕円上の点Pとの距離が最小となるときのPの座標を求める。(1)〜(4)すべて結果のみを答えるので、計算の精度が得点を大きく左右する。

2 記述 ★★☆☆

【群数列】二次関数の決定

群数列。各群に含まれる項数が2次関数的に変化する。題意をとれない受験生も一定数存在しそう。計算もやや煩雑。差のつきそうな問題。

3 記述 ★★★☆

【積分法】面積の応用、積分方程式・積分関数

y=xsinxについて、指定された区間での極値が1つだけとなることの証明問題、およびある領域の面積の最小値を調べる問題。難度が高く、手が付かなかった受験生が多いと思われる。

化学

理科2科目で100分。愛知医科大の化学は毎年うまく差がつく良問を集めているが2021年度もその傾向であった。大問数も3問で、うち1問が小問2つに分かれている形式も例年通り。とにかく取れる問題を探し出して確実に得点し、思考力の必要な問題にいかに時間を残せるかが高得点のカギなので、テキパキと問題処理ができるような経験値が必要。そのためには過去問をたくさん解き典型題の解法は即座に浮かぶようにしておくのは必須である。さらに計算問題では前の小問で出た値を次で使うので、初めに間違えると数問全滅という出題があり、計算を慎重に合わせる必要があった。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

【電池と電気分解】鉛蓄電池による電気分解

問5の気体の体積計算以外は割り切れる数値設定の計算問題になっており、計算問題中心ながらもあまり時間を掛けたくない設問であった。

2 記述 ★★☆☆

【脂肪族化合物】【芳香族化合物】エステルの構造推定

エステル結合を4つ持つ化合物の構造推定問題で、構造推定の訓練をしっかり積んできたかどうかで差が付きそう。特に化合物Bや化合物Eの構造を推定するためには有機分野の単純な知識のインプットだけでなく、規則をもとに類推する能力が求められた。

3 記述 ★★☆☆

【糖類】デンプン

小問1と2に分かれており、1がデンプンとその周辺の糖類についての知識問題で、どの問題も失点が致命傷につながるような易問であった。2がデンプンをメチル化させて枝分かれ数を求める実験問題で、難易度としては標準問題であった。計算しやすくなるような数値設定にしてくれており、誘導がついていたものの、このタイプの問題に取り組んだことがあったかどうかで差が付きそう。

生物

理科2科目で100分。例年通り、よく知られたテーマで構成されているものの、論述問題を書ききることを考えると2科目100分はかなり苦しく、単純な知識問題や計算問題を相当なスピードで処理しなくてはならない。対策としては、典型題に対する処理速度をできるだけ上げておくことと、2科目100分に変わってからの過去問を解いて、時間感覚をチューニングしておくことが効果的だろう。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【生物の環境応答】習得的行動、興奮の伝達

前半のアメフラシの慣れ・鋭敏化についての問題は標準的な知識問題なのでしっかり押さえておきたい。後半の神経回路の問題は、共通テストをやや意識した感じのパズル問題で、ここで時間を取られすぎないように注意したい。

2 マーク ★★☆☆

【生命現象と物質】バイオテクノロジー、遺伝子発現の仕組み

問題Ⅰと同様、前半は知識問題で、後半は共通テスト的な考察問題という構成になっている。前半は、ラクトースオペロンについて標準的な理解があれば十分に得点できるが、後半は実験の条件を手際よく整理する能力が求められる。

3 マーク ★★☆☆

【生物の環境応答】光周性と花芽形成、植物ホルモンによる成長の調節

問題Ⅰ・Ⅱとは異なり、問題Ⅲはすべて知識問題で、植物の反応や植物ホルモンに関するやや細かめの知識が求められてはいるものの、丁寧に勉強していれば解答できる。問題Ⅰ・Ⅱの後半のパズル問題や考察問題に時間を割く前に、ここでしっかりと点を集めておきたい。

物理

理科2科目で100分。難易度は2020年度と大きな変化なし。作業量はやや増。例年、問題は標準レベルから、少し突っ込んだ内容の問題まで幅広く出題されている。問題設定のオリジナリティも高い。高度な内容を問うこともあるが、ストーリーがはっきりしていて丁寧な誘導がついていることが多く、その場で読解し、その場で考える能力が試されている。数年続いていた作業量の減少傾向は一段落。試験時間に対して問題量が多い。時間の使い方の練習は必須。高度な内容の出題もあるが、基礎事項の確認問題、標準的な難易度の問題できちんと得点することができれば、合格に必要な点数は確保可能である。

大問 形式 難易度 内容
1 記述 ★★☆☆

【力学】力学的エネルギー、運動量の保存

2小球を鉛直に落下させた後の、上側の小球の跳ね上がりの問題。前半、2次元で扱う出題は目新しい。後半は1次元。丁寧に小問が割ってあるので取り組みやすい。現象をイメージしながら解くことが大切。

2 記述 ★★★☆

【波動】鏡やレンズの性質

凹面鏡の写像公式の導出問題。このタイプの問題を一度でも解いていると解きやすかっただろう。後半は凸レンズ。

3 記述 ★★☆☆

【電磁気】電気と磁気、電流が磁界から受ける力

前半は棒磁石が一様な磁場から受ける磁気力の力のモーメント。これは、最後に長方形コイルがこの棒磁石と等価となるための電流を求めるための前ふり。問題の下敷きにあるのは磁気モーメントの考え方。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2021年度 2,179名 445名 181名 262/500 52.4%
2020年度 2,304名 432名 183名 281/500 56.2%
2019年度 2,314名 428名 301名 264/500 52.8%
2018年度 1,875名 402名 160名 304/500 60.8%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2021年度 94.3% 98.2%
2020年度 89.1% 94.2%
2019年度 88.1% 94.4%
2018年度 90.7% 95.4%

解答速報 公開直後にメールでお知らせ!

解答速報 公開直後にメールでお知らせ!