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川崎医科大学の傾向分析2021

2021年度一般入試問題分析

英語

近年続いた大問4題の出題から、3題に減少。最初は戸惑った受験生も多いだろうが、全体的な長文の語数が減ったことで取り組みやすく時間配分も比較的容易だっただろう。2021年度の大問Ⅰはほぼ語彙力を測る問題なので、英熟語や動詞の語法などの知識をつけておきたい。川崎医科大学の長文では従来、医師としての心構えについての長文、健康維持のためのヒントに関する長文、話題になったビジネス本の引用などから出題されることが多い。2021年度は大問ⅡもⅢも「異文化コミュニケーション」に関するテーマであった。医師になった際に直面する問題として、日ごろから関心を持っておこう。

大問 形式 難易度 内容
1 選択 ★☆☆☆

【文法・語法】空所補充

問題数は18。語句整序が無くなった分例年より問題数が増えた。従来のように文法と語法とがバランスよく出題されていたのとは異なり、前置詞・動詞の語法・熟語・語彙に関する問題が大半である。知識さえあれば解答が容易な問題が多い。

2 選択 ★★☆☆

【長文総合】空所補充、内容説明、内容一致、指示内容

「医師が身に付けるべき異文化間能力」に関する英文。空所補充、指示語の内容、内容真偽、内容説明の問題から構成されている。英文ながら語注も多く、各問題の解答の根拠も下線部や空欄の前後で見つけられ、問題の出題順と文章の流れが一致しているため取り組みやすい。

3 選択 ★★☆☆

【長文総合】語句整序、空所補充、内容一致、同意表現

「異なる文化圏出身者に対しての説得の難しさ」に関する英文。例年長文総合問題となっていた大問4と比べたら分量は少なめ。長文内に語句整序が1問出題された。「説得の難しさ」についての事象について、異なる2人の人物の観点から説明がなされている。前半に登場するアメリカ人女性技師がドイツの会社でやってきたことと不満に抱いていたことが何か、そして後半に登場するドイツ人男性役員がアメリカ人を説得する際に苦労したことが何かを読み取れさえすれば、文章の流れは理解出来る。一部文章全体の大意をつかまなければ解けない問題もあるが、概して出題順と文章の流れはほぼ一致している。

数学

2020年度は制限時間に対してほどよい問題量だったが、2021年度は分量が増加し、一部難易度の高い問題の割合が増えた。一つの問題にいろんな内容を盛り込もうとするために、最初の方でつまづいても後半部分はそれとは関係なく解ける、ということが多い。分野については、数学Ⅲの微積分は必ず出ると言ってよい。その他、複素数、数列も頻出。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★★☆

【整数の性質】重複組合せ、組み合わせの計算、約数と倍数

2,700の約数についての、場合の数、整数の融合問題。設問ごとの難易の差が大きい。

2 マーク ★★☆☆

【空間のベクトル】空間ベクトルの内積

正四面体を題材として、直線と平面の交点を求めたり内積計算をする問題。計算量が多い。また、図形的なセンスが必要な設問もあり、差がつきそう。

3 マーク ★★☆☆

【微分法】最大・最小の応用、曲線の凹凸・変曲点、極限の応用

対数を含む関数について、接線、変曲点、接線と座標軸とで出来る三角形の面積の面積の最大値、極限などを求める。これも計算量が多い。

化学

化学は大問1〜3までで、それぞれが互いに繋がりのない小問集合という形式で、2020年度と大きな変更は無かった。ここ2年間大問3に有機分野の出題が集められていたが、2021年度では大問3に無機分野と有機分野の出題が混じっていた。近年川崎医科大学では恒例の出題形式となっている大問3(8)の長文問題では頭を悩ませた受験生は少なくなかったであろうが、川崎医科大学の受験を考えている受験生は、このような形式の設問があることを念頭において試験に臨んでもらいたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★☆☆☆

【小問集合】理論・無機分野

(1)〜(6)まであり、うち計算問題は1つ。例年通りの基礎的な知識・計算力を問う問題が並んだ。(5)の水分子の物質量を比較する設問では差がついたかもしれない。

2 マーク ★★☆☆

【小問集合】理論分野

(1)〜(8)まであり、うち計算問題は6つ。(8)の希薄溶液の凝固点降下に関する設問では反応のバランスシートを示してくれていたものの、現象をしっかり理解しているかどうかで差が付きそう。

3 マーク ★★☆☆

【小問集合】無機・有機分野

(1)〜(8)まであり、計算問題は無かった。コロナ蔓延による現役生の学習の遅れへの配慮か、天然および合成高分子化合物からの出題がなかったのは大きな特徴だろう。(6)の炭素原子がつねに同一平面上にあるものを選ぶ設問は出題ミスであると思われる。

物理

難しい問題がなく、2020年度入試よりやや易化している。2020年度からマーク数は2増えているが、1問ごとにかかる時間は短いので満点を狙うことも可能である。数学的な思考を要する設問が少しあるが、これも難しくない。各分野について基本事項をまんべんなく押さえておけば、十分に高得点が狙える。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★☆☆☆

【力学】鉛直投射

鉛直投射における物体の質量、初速度、最高点での高さおよび時刻などの物理量どうしの関係を問う問題。計算をほとんど必要とせず、手早く完答したい。

2 マーク ★★☆☆

【力学】円運動

車輪上の1点の位置、速度に関する問題。円運動する物体の位置や速度を公式として覚えていれば、その場で考えて解くことができる。三角関数の微分や媒介変数表示など、数学の知識が活用できた方が、解答の速さと精度の面で有利である。

3 マーク ★☆☆☆

【熱】熱と温度

比熱と熱容量についての出題。基本的な問題なので、手早く完答したい。

4 マーク ★★☆☆

【波動】音のドップラー効果

ドップラー効果を利用して音速を測定するという設定の問題。問題設定を正しく理解し、ドップラー効果の公式を適切に用いれば問題なく解くことができる。

4 マーク ★☆☆☆

【電磁気】交流・送電

直列RLC回路の電流と電圧に関する問題。交流の問題としては基本的だが、交流について十分に対策できている受験者ばかりではないことを考えると、全受験者が完答を狙えるとまでは言えない。

生物

2科目120分で大問3問と例年通り。一部、難しい問題も含まれてはいたが、2020年度同様、基本事項を中心に問われており、かなりの高得点勝負になったと思われる。こうした素直な出題が続くとなると、既知の問題をいかに素早く正確に処理できるかのトレーニングが重要になる。非常に広範な分野からの出題はずっと変わらない傾向なので、苦手分野を作らないようにすることが一番重要だろう。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【小問集合】葉緑体と光合成色素、DNAの複製

光合成、DNAの複製、ウイルスについてそれぞれ知識問題が出題された。光合成では、薄層クロマトグラフィーによる光合成色素の分離実験の結果を選択する問題、光合成色素の吸収スペクトルをグラフから選択する問題、カルビン・ベンソン回路中の物質の分子数を答える問題など、細かな知識が問われていたが、その他は基本的な知識ばかり問われていた。

2 マーク ★☆☆☆

【小問集合】肝臓のはたらき、腎臓のはたらき

肝臓についての知識問題と腎臓の計算問題が出題された。尿中のグルコース量から、グラフを用いて血しょう中のグルコース濃度を求める問題は、同様の問題をこれまでに経験したことがあったかどうかで差がついたと思われる。

3 マーク ★☆☆☆

【生殖と発生】細胞分化・形態形成と遺伝子

ショウジョウバエの発生における頭尾軸決定について問われた。ビコイドタンパク質とナノスタンパク質の作用や役割を実験結果から考察する問題は、典型的な問題であったが、ギャップ遺伝子の発現パターンをリード文を元に判断する問題は、取り組みにくかった。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2021年度 1,393名 330名 データなし 229/350 65.6%
2020年度 1,352名 375名 データなし 253/350 72.2%
2019年度 1,244名 367名 69名 210/350 60.0%
2018年度 1,409名 404名 87名 221.5/350 63.3%

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2021年度 85.8% 85.6%
2020年度 96.6% 99.0%
2019年度 87.6% 88.6%
2018年度 86.9% 89.0%

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