医学部面接 SJTとは?状況判断テストの意味と増えている理由
基本情報
2026/04/17(金)
(最終更新日2026/04/17)
医学部面接では、志望理由や将来像を問うだけではなく、場面に対する考え方や判断の筋道を見る形式も広がっています。近年、その中で存在感を増しているのがSJT(Situational Judgment Test)です。
SJTは、知識の量そのものを問う試験ではなく、限られた情報の中で何を重視し、どう考え、どう対応しようとするかを見る形式です。ここでは、SJTの意味、MMIとの違い、出題の広がり、そして増えている背景を整理します。
SJTって何? 医学部で増えている「正解のない面接」
「医学部の面接」と聞くと、多くの人は,志望理由や将来の夢を聞かれる場面を思い浮かべるはずです。ですが、最近の医学部面接は、それだけではありません。いま存在感を増しているのが、状況判断テスト、SJT(Situational Judgment Test)です。SJTは、知識を問う試験ではなく、「この場面で、あなたならどう考え、どう動くか」を見る試験です。医学部が、学力だけでは見えない部分まで確かめようとしていることの表れだと言えます。
「あなたならどうする?」で始まる試験
SJTでは、たとえば次のような場面が示されます。
「離島の診療所で、2人の重症患者が同時に運び込まれた。ひとりは飲酒運転をした若者、もうひとりは末期ガンの高齢者。人工呼吸器は1台しかない。あなたならどうするか」こうした問題では、ただ感情で答えるのではなく、何を優先するのか、どんな点を考慮するのか、その判断の筋道が見られます。命の重さ、公平性、患者背景、限られた医療資源、そして一人で決めずに周囲とどう連携するか。SJTは、まさにそうした「迷う場面での考え方」を見るための試験です。今の医学教育で重視されている、プロフェッショナリズム、患者を総合的にみる姿勢、コミュニケーション、多職種連携といった力とも、かなり相性のよい形式です。
MMIとの違いは? 広い箱がMMI、その中にSJT的課題
SJTとよく並んで語られるのが、MMI(Multiple Mini Interview)です。ここは受験生が混乱しやすいところですが、整理するとわかりやすいです。両者の目的は大きく変わりません。どちらも、医師に必要な判断力、対人対応力、倫理観、コミュニケーションの力を見ようとするものです。
ただし、MMIはその名の通り、いろいろな形式で、いろいろな能力を測る仕組みです。つまりMMIは、かなり幅の広い方式です。
その中で、あるステーションが「この場面でどう考えるか」を問う内容なら、それはかなりSJT的です。したがって、受験生向けには、「MMIは広い箱で、SJTはその中に入ることが多いタイプの課題」と理解するとわかりやすいです。厳密な学術用語としてはSJTが独立して用いられる場合もありますが、医学部受験の実感としては、MMIの中にSJT的問題が組み込まれていることが多い、と考えて大きなズレはありません。
では、SJT以外にMMIではどんなことが聞かれるのでしょうか。東京慈恵会医科大学の資料を見ると、MMIでは、状況判断だけでなく、かなり幅広いタイプの課題が出されています。たとえば、オセロをしながら質問に答える課題、折り紙を折りながら受け答えをする課題、文学作品の一節を読んで登場人物の関係や心情を説明する課題、グラフを見て「客観的にわかること」と「自分の解釈」を分けて述べる課題、5つの選択肢から1つを選び、そのメリットとデメリットを説明する課題などです。つまりMMIは、SJTのような状況判断に加えて、「考えながら動く力」「読み取る力」「客観的に整理する力」「自分の考えを筋道立てて説明する力」まで含めて見ようとする面接だと理解するとつかみやすいです。
もう他人事ではない。SJTが出る大学
まず、SJTが面接試験の中心となっている大学です。
A.SJTが面接試験の中心となっている大学
- 兵庫医科大学B(課題型面接)
- 藤田医科大学(MMIとして)
- 岩手医科大学 2026 NEW!
- 川崎医科大学 2026 NEW!
などです。
次に、面接試験の一部で、毎年SJTが出題される大学です。
B.面接試験の一部で、毎年SJTが出題される大学
- 近畿大学医学部
- 東京慈恵会医科大学(MMIの一部として)
- 東邦大学医学部(MMIの一部として)
などです。
さらに、これまでに、年度or面接官によってはSJTが出題されたことがある大学です。
C.これまでに、年度or面接官によってはSJTが出題されたことがある大学
- 愛知医科大学
- 関西医科大学
- 杏林大学医学部
- 藤田医科大学(MMIの一部として)
- 久留米大学医学部(写真を見て)
- 昭和医科大学
- 聖マリアンナ医科大学
- 帝京大学医学部
- 東海大学医学部
- 東京医科大学
- 東北医科薬科大学
- 獨協医科大学
- 日本大学医学部
などです。
この一覧からわかるのは、SJTがもはや一部の珍しい形式ではないということです。「中心で出す大学」「毎年一部で出す大学」「年度によって出る大学」と広がっており、医学部面接の中で確実に存在感を増しています。
なお、「私立医学部のほとんどがSJTを出題したことがある」とまで言い切るのは、現時点では少し強すぎます。全国の私立医学部を同じ基準で全部調べ切った集計データが手元にあるわけではないからです。ただし、少なくとも実感としては、私立医学部ではSJT、あるいはSJT的な課題はかなり広く見られる、とは言ってよい状況です。もはや「特殊な大学だけの面接」ではありません。
なぜ今、SJTが増えているのか?
理由はかなりはっきりしています。医学部が、「勉強ができる人」だけでなく、「医師として適切に判断できる人」を入れたいと考えるようになっているからです。
最近の医学教育では、知識だけでなく、プロフェッショナリズム、コミュニケーション能力、多職種連携、患者を総合的にみる姿勢、情報や科学技術を活かす力などが重視されています。文部科学省の医学教育モデル・コア・カリキュラムでも、こうした資質・能力が、卒業までに身につけるべき柱として示されています。また、令和4年度改訂版では、従来の科目順の構成から、卒業時にどのような能力を身につけているかを重視するアウトカム基盤型の考え方がより明確になりました。つまり、大学で育てたい医師像そのものが、「知識中心」から「知識+判断+対人対応」へ広がっているのです。
そうなると、入試でも、志望理由をうまく話せるかどうかだけでは足りません。実際の医療現場では、正解が一つに決まらない場面が何度も起こります。患者さんへの配慮、限られた資源、家族対応、守秘義務、安全管理、チーム内での報告と相談。こうした場面で、受験生がどう考えるかを見たい。そこで相性がよいのがSJTです。SJTなら、「この人は、迷う場面で何を優先しようとするか」を比較的はっきり見られます。
「知識だけ」では足りない時代へ
SJTが増えている背景には、医学教育全体で、知識だけでなく、技能や態度まで含めて評価する流れが強まっていることもあります。とくにOSCE(オスキー:Objective Structured Clinical Examination)は、実際の対応、技能、態度をみる試験であり、現在は全国のすべての医学部で実施されていると考えてよい状況です。医学教育の本番そのものが、「その場でどうふるまえるか」を重視する方向へ進んでおり、SJTは、その流れを入試段階で先取りしていると見ることができます。
大学側にもメリットがある
SJTが増えるのは、大学側にとって使いやすいからでもあります。普通の自由面接では、面接官によって質問が変わり、評価もぶれやすくなります。ですがSJTなら、同じ場面を複数の受験生に提示できるので、比較的そろった条件で判断を見ることができます。つまり、「話がうまかったから高評価」ではなく、「この場面でこう考えたから評価できる」という形にしやすいのです。MMIが各ステーションごとに異なる質問や場面を設定して、比較的一貫した評価をしやすいのと同じように、SJTにも構造化しやすい強みがあります。
何をしておけばいい?
SJTには、数学のような一つの「正解」があるわけではありません。ですが、医学部で求められる「考える筋道」には、確かに学べる部分があります。どのような視点から状況を見るのか、何を優先して考えるのか、どこまでを自分で判断し、どこから周囲に相談するのか。そうした筋道は、練習を通して少しずつ身につけることができます。
さらに大切なのは、自分が考えた筋道そのものだけでなく、その「示し方」です。同じような内容を考えていても、伝え方によって、面接官に与える印象や伝わりやすさは大きく変わります。何を先に述べるか、どのように理由をつなぐか、相手に伝わる言葉で整理できているか。こうした部分は、練習次第で大きく伸ばすことができます。
つまりSJT対策とは、特別な裏技を覚えることではなく、医学部で求められる考え方を学び、それを伝わる形で表現できるようにしていくことなのです。
SJTは、医学部が変わってきた証拠
SJTが増えているのは、単なる流行ではありません。医学部が、「成績のよさ」だけではなく、「迷う場面でどう考え,どうふるまうか」まで見ようとしている証拠です。だからこそ、これから医学部を目指す人に必要なのは、勉強と同時に、人への向き合い方を磨くことです。
これからの医学部面接では、「よく知っている人」だけでなく、「よく考えられる人」が強い。SJTは、そのことをいちばんはっきり示している試験だと言えるでしょう。
FAQ
- SJTとは何ですか?
- SJTは、知識を問う試験ではなく、「この場面で、あなたならどう考え、どう動くか」を見る試験です。
- SJTとMMIの違いは何ですか?
- SJTは、ある場面を示されて「あなたならどう考え、どう判断するか」を問う課題です。
一方MMIは、短い面接や課題をいくつも回りながら、多面的に受験生を見る面接方式です。
つまり、SJTは「問題のタイプ」、MMIは「試験の仕組み」です。 - SJTはどのような大学で出題されていますか?
- SJTは、一部の大学だけの特殊な形式ではなく、医学部面接の中で広がっている形式です。
記事内では、SJTが面接試験の中心となっている大学、面接試験の一部で毎年出題される大学、年度や面接官によって出題されたことがある大学に分けて整理しています。 - SJTはどう対策すればよいですか?
- 特別な裏技を覚えることではなく、医学部で求められる考え方を学び、それを伝わる形で表現できるようにしていくことが大切です。
医学部進学予備校メビオの【医学部】小論文・面接対策講座
SJTでは、何を優先し、どのように考え、その筋道をどう示すかが問われます。対策では、考え方そのものだけでなく、それを限られた時間で言葉にする練習も必要になります。
医学部進学予備校メビオの【医学部】小論文・面接対策講座では、小論文と面接の両面から、医学部入試で求められる考え方の整理と表現の練習を行っています。SJTやMMIを含む医学部面接対策を進める際の参考としてご覧ください。
著者
医学部進学予備校メビオ 小論文・面接科 主任講師 林 智信





