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近畿大学医学部(前期) 各科目の講評および全体総括

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近畿大学医学部(前期) 各科目の講評および全体総括

入試

メビオ講師コラム

2023/01/29(日)

2023年1月29日(水)に近畿大学医学部の入試がありました。

2022年度入試では,志願者数1496人,1次合格218人,最終合格104人でした。2023年度入試は,志願者数1545人ですので,合格者は昨年と同様の推移をする見込みです。

それでは早速メビオ講師陣の声を紹介します。

英語

A~Cの語彙や文法に関わる問題が,大幅に易化したことで,全体を時間内に解ききることが可能になりました。最後に配置されたHの長文も昨年度よりもかなり解きやすくなりました。ただし,長文DE,及びFGでは問われている単語や選択肢の単語にやや難易度の高いものも含まれており,高得点を難しくしています。ということから,目標ラインは65%から70%というところになりそうです。長文DEは生物系の話題,長文FGは物理系の話題となっており,どちらを難しいと感じるかは理科の選択によって印象が変わるでしょう。本文内容と丁寧に突き合わせて確認する時間を捻出できたかどうかで点差がつくでしょう。

数学

答だけを記す形式が2問,記述が1問という形式は例年通りでした。問題の難易度は昨年度よりやや上がっており,苦戦を強いられた受験生も多そうです。以下,大問ごとに見ていきます。

大問1
問題の設定が少々複雑で,まずここで躓いた受験生が多そうです。設定が理解できればあとは慎重に調べ上げていけばよいのですが,空所補充で部分点がないのでかなりの慎重さが必要です。
大問2
整数とデータの分析の融合題でした。中盤の(2)(ii)までは,方針は立ちやすいのですが計算力が必要です。(2)(iii)以降の難易度は高く,完答は難しいです。
大問3
図形と計量の問題でした。4辺の長さが与えられた四角形の形状を考えていくのですが,題意を満たすような適当な三角形が存在すると気付けたかどうかが重要となる問題でした。発想力が問われます。まともに計算していくのは大変です。

どの大問も完答するのは容易ではなく,どれだけ粘り強く立ち回ったか,という勝負だったと思います。目標は50%というところです。

物理

2023年度は2022年度と難易度は変わりません。グラフ描図の問題が4題あり,2022年度より1つ増えました。

大問Ⅰ [ 力学:定滑車で結ばれた斜面上を滑る 2 物体の運動 ](標準)
あまり見かけないタイプのセッティングですが,それほど難しくはありません。
大問Ⅱ [ 電磁気:コンデンサーの接続 ](標準)
通常は漸化式を用いて解く問題ですが,今回は問題の誘導に従っていくと一般項が推測できて解けるようになっています。この問題が初見の受験者への配慮が感じられます。
大問Ⅲ [ 原子: C14 による年代測定,放射能の強さ ](標準)
原子分野の問題は,現役生の受験者が手薄になり易い分野です。放射能の強さの計算をするための情報は問題文中に丁寧に書かれているので,この分野が初めてでも解くことができるようになっています。

2023年度前期の難易度は2022年度と同程度。問題数も2022年度と同じく30問。計算や描図などの作業が多く,時間がかかることには変わりはありませんが,標準的な内容が多くかなり解き易い問題が多くなりました。描図など時間のかかりそうな問題は後に回し,効率的に計算をすればかなりの高得点が狙えそうです。

大問Ⅰは8割,大問Ⅱは6割,大問Ⅲは6割弱程度は解答したいところです。 全体で目標は65%程度ですが,物理の得意な受験生なら8割超えも十分狙えます。

化学

問題形式,および問題の総量については例年どおりでした。問題の難易度は2022年度より下がっており,特に一つめの大問が易しい内容だったことは受験生にとっては取り組みやすかったのではないでしょうか。実験操作に関する問題や計算量が多い問題も出題されており,それらに落ち着いて取り組む必要がありましたので,一次合格の目標としては60%と見ています。以下に,問題ごとの講評を記します。

Ⅰ問(1)
ソルベー法の反応式を書く問題なので,準備してきた受験生には易しかったでしょう。総合反応式まで書けないと最後の計算ができないので,代表的反応式を書けるよう準備してきたかどうかが問われました。
Ⅰ問(2)
(a)(b)はボルタ電池,鉛蓄電池であり,電池の基本がわかっていれば正解できる内容でした。(c)の変則的な電池に関してはどのような現象が起こるかを考えすぎてしまい混乱した受験生もいたかもしれませんが,基本に立ち返って考えれば答えられる問題でした。電気分解に関しては平易な内容で満点を目指したい内容でした
Ⅱ問(1)
気体の状態方程式を駆使すれば解ける問題で,問題設定が見慣れない形式なので戸惑った受験生もいたでしょう。この反応がアルケンに対するハロゲンの付加反応だと気づけばあとは難しくない内容でしたが,正答を出すには正確な計算力も求められました。
Ⅱ問(2)
ベンゼンとシクロヘキサトリエンのエネルギーの差を計算させる問題でした。このテーマに触れたことがあれば熱化学方程式を足したり引いたりするだけで解答できるため,時間を掛けずにクリアできたでしょう。
Ⅲ問(1)
分子式C9H12とその誘導体に関する異性体の問題でした。(b)は基本的な知識問題なでした。(a)を間違えるとほぼ自動的に(c)と(d)を正しく検証できなくなるので,そういった意味では取り組みづらかったかもしれません。なお,2020年度前期入試において分子式C9H12Oの異性体の数え上げの必要な問題が出題されていて,過去問演習に十分に取り組めていたかどうかでも差がついたでしょう。
Ⅲ問(2)
血痕の検出に利用されることで知られるルミノールの合成に関する問題でした。取り上げられた化合物の構造式はいずれも馴染みのないものであったと思われますが,問われている内容の多くは標準的なものでした。

 

生物

前期試験は例年大問4題でしたが,1題減って3題になり,考察問題や論述問題の解答に必要な時間をしっかりと確保できるようになりました。内容的には,大問Ⅲに発展的な内容が含まれており,論述がややまとめにくいものの,大問Ⅰ・Ⅱの内容は非常にオーソドックスで,真面目に勉強した受験生の力を測りやすい良問となっています。大問Ⅰ・Ⅱが得点しやすいため,目標は75%でしょう。

大問Ⅰ [プラスミド](標準)
オーソドックスな内容なので,演習をどれだけこなしてきたかで差がついたでしょう。
大問Ⅱ [血液](やや易)
血液に関する基礎的な知識を問う内容なので,できれば満点を狙いたい。
大問Ⅲ [細胞の初期化](やや難)
ガードンの有名な実験をテーマとしてはいるものの,論述がまとめにくく,エピジェネティクスに関する発展的な知識を問う設問もあり,全体的に得点しにくい。
全体総括
全体を通して
  • 問題数が減り,作業や思考に要する時間を確保することができるようになった
  • 標準レベルの割合が増え,落とせない問題が増えた
  • 難問というより発想力が試される増えた
と言えそうです。

英語が易化したこと,多くの科目で標準レベルの問題が増えたことにより,合格最低点は230点くらいまで上がりそうです(2022年度は212点)。

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