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【2023年度最新】医学部定員の最新動向まとめ。国立・私立に分けて徹底解説!

トレンド

2023/04/17(月)

(最終更新日2023/11/23)

将来医師になることを目標としている人にとって、医学部定員の動向は気になるところでしょう。地域によっては医師不足に悩まされるところもあり、医学部の定員にも影響を与えています。この記事では医学部定員を増やす理由や国立および私立医学部における最新の定員動向、地域枠などについても詳しく解説します。

医学部定員の最新動向とは?

医学部の定員は1973年に「無医大県解消構想」の閣議決定が出されて以降は増加し、1981年に琉球大学医学部が開設された時期にピークを迎えました。1982年には全体として医師数が過剰にならないよう配慮する閣議決定がなされ、2003~2007年には7,625人にまで削減されました。しかし、2008年には再び過去最大程度まで医学部の定員を増やす決定が出されたことで、以後は国立・私立とも増加しています。

2008年に国公立・私立合わせて7,793人の定員だったところ、翌年2009年には8,486人に増員されました。この時点でピーク時だった1981~1984年の8,280人を超えています。2010年には8,846人、2011年は8,923人、2012年は8,991人となり、2013年には9,000人を超えて9,069人にまで増えました。2017年以降は9,300~9,400人台で推移し、2022年は9,374人、2023年の定員は9,384人と高水準で推移しています。

医学部の定員を増やす理由とは?

各都道府県に医学部を設置する取り組みが一段落した1982年以降、いったんは医学部定員を減らす方向に舵を切ったのち、再び定員を増やすことになったのはなぜなのでしょうか。理由として、特に地域の医師不足解消と研究医養成という2つが挙げられます。ここからは医学部の定員を増やしている理由について、詳しく解説していきます。

地域の医師不足解消のため(地域枠)

医学部定員を増やす大きな理由の一つは、地域によって医師が不足している状況が認められることでした。地域における医療体制確保のための「新医師確保総合対策」が出された2006年時点でも、すでに青森県や岩手県、秋田県を始め医師不足が特に深刻な10県で各10人増員されています。

2010年以降は地域の医師確保を目的とした「地域枠」で奨学金を設け、地域医療を担う意思を持つ者を対象にして定員増の取り組みが行われています。現在地域枠は79大学中71大学(90%)の大学で導入されており、2023年度の全国医学部における地域枠定員は、前年比プラス53人の961人です。

※出典:
文部科学省「令和5年度 医学部入学定員増について」

医師の偏在が問題に

医師数そのもののだけではなく、医師や診療科の偏在も懸念されています。2008年から医学部の定員を増やしているため少しずつ改善されてきているものの、未だに医師の偏在は完全に解消とは言い切れない状況です。人口10万人に対する医師数(2020年12月31日時点)をみると、関西・中国・四国・九州など主に西日本では十分な医師数が確保されている一方で、東日本や中部地方では専門医を含めて医師数が全国平均を下回る県が多い傾向があります。

上述したように、地域枠は入学者に奨学金が貸与される代わりに、定められた期間その地域での診療義務を果たせば返還を免除するシステムです。そのため、医師偏在の解消に一定の役割を果たしています。

また、地域のニーズに合わせた診療科偏在対策として、診療科選定枠も設けられています。卒後のキャリア形成プログラムでキャリア形成の支援を行っているのも医師偏在を解消する対策の一つです。厚生労働省が発表している「平成30年度改正医療法の施行状況調査(キャリア形成プログラム)」では、特に確保が必要な診療科のコースを選択する医師の数を増やす取り組みについて、47都道府県のうち37県が行っていると回答しています。(※)

※出典:
厚生労働省「キャリア形成プログラムについて」

研究医養成のため

日本ではこれまで基礎医学の分野で国際的な業績を上げてきたものの、現代では研究医が減少している傾向です。2011年に文部科学省が発表した「基礎医学研究者不足の現状と対策」によると、実際に東京大学や大阪大学、京都大学などの卒業者のうち、基礎研究に携わる研究者数が1990年代後半から明らかに減少しています。

研究医不足は、将来的に基礎医学教員の不足や臨床研究・橋渡し研究の活力低下、創薬産業や医療器機産業への負の効果などさまざまな影響が懸念されています。そこで、研究医枠を設け、研究医養成に力を入れる大学も増えています。学部・大学院教育を一貫して行うMD-PhDコースのような、研究医養成のための仕組みも取り入れられるようになりました。2021年に厚生労働省が発表した「研究医枠について」によると、2020年時点で研究医枠のあるのは15大学で、2010~2019年の間に述べ増員数の3倍以上の延べ履修者を確保していることがわかりました。

※出典:
文部科学省「基礎医学研究者不足の現状と対策」

※出典:
厚生労働省「研究医枠について」

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【2023年最新】国立大学医学部の定員

ここからは実際に2023年度の国立大学医学部における定員がどれだけ増加しているのかを見ていきましょう。

※出典
文部科学省「令和5年度からの国立大学医学部の収容定員の増加に係る設置計画一覧」(2022年10月17日)

医学部の定員は2023年度までの間、おおむね2019年度の9,240人を超えない範囲で維持することとされてきました。必要性に応じて毎年定員が調整されており、2023年度の国立大学医学部入学定員は4,249人です。定員増加前に比べると、国立大学医学部全体では565人増加しています。

特に新潟大学医学部の増加幅が最も多く、40人増です。他にも筑波大学が36人増、秋田大学が29人増など、人口10万対医師数が低かった県の大学の増員が目立ちます。一方で、東京大学や京都大学、大阪大学など大都市圏の大学医学部では、増加が2人ずつにとどまっています。

【2023年最新】私立大学医学部の定員

続いて私立大学医学部の定員の推移も見ていきましょう。

私立大学でも、24校の医学部が収容定員の増加に係る学則変更を申請しました。岩手医科大学では35人、埼玉医科大学では20人の増員が認可され、入学定員はそれぞれ130人となりました。

私立大学では「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律」に基づき増員を申請した東京都内の大学も増員が認可されています。帝京大学を除いて10人以上が増員され、特に順天堂大学では35人増です。関西の大都市圏でも関西医科大学と近畿大学が、ともに17人増員されました。

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医師偏在解消の切り札!医学部の地域枠とは?

医学部に地域枠が設けられるようになったのは、東京などの大都市圏に医師が集中することで地域偏在が起こったり、地方都市で診療科偏在による医師不足が顕著になったりしたことが理由です。そこで医師を養成する段階から、地域に定着してもらえるような取り組みが求められるようになりました。

地域医療への従事に意欲を持つ学生を対象とした、地域枠の制度が始まったのは2008年です。それ以前から地域を限定した入学者選抜枠を設けている大学はありましたが地域枠人数が増えたのはその制度が始まった頃で、2008年は403人、2017年には1,676人にまで増加しています。

地域枠は将来地域医療に従事する医師を育てることを目的にした枠であり、一般的には一定期間その地域で医療に従事することを条件とした奨学金の貸与が行われています。

※出典:
厚生労働省「医師偏在対策について」(2018年2月9日)

学生にとってのメリット

医学部の地域枠は地域医療に従事してくれる医師を育てることを目的としているもので、必ずしも奨学金制度を伴っているとは限りません。ただし、大学によって地域枠の詳細にバリエーションがあるものの、奨学金が給付または貸与されるケースが多いことは事実です。

医学部で6年間勉強するための費用は、国公立大学でも320万円程度、私立大学ともなると安いところで2,000万円、高いところでは5,000万円近くになります。しかし、奨学金を受けることができれば家計の負担を減らしながら医学部への進学が可能になるでしょう。特に医師免許取得後に医師不足が深刻な一定の地域や診療科で勤務することで奨学金の返還が免除される地域枠では、学費の負担がかなり少なくなります。

地域にとってのメリット

地域枠があることで、医師不足が顕著な地域では医師を確保できるメリットがあります。実際に文部科学省が発表した「これまでの医学部入学定員増等の取組について」によると、地域枠で入学した学生の当該都道府県定着率の平均が89%あるのに対し、一般枠の学生は54%でした。

もちろん地域枠で奨学金を受けている学生の場合、返還が免除になる期間だけ対象地域の医療機関に残り、その後は地域を離れることもあるでしょう。ただ医学部のカリキュラムでは地域医療に関する教育に力を入れているところも多く、地域枠で入学した学生が地域医療に意欲を持ち、卒業後も定着してくれることが期待できます。

※出典:
文部科学省「これまでの医学部入学定員増等の取組について」(2011年1月18日)

診療科指定地域枠も

医師の偏在への対応が求められている理由は、単に医師数が不足しているからというだけではありません。地域内での診療科の偏在も問題になっています。地域の医師確保を目的とした地域枠の中でも、特に診療科を指定した選定枠が診療科指定地域枠です。診療科指定地域枠は将来その診療科の医療に従事することを目的として、地域のニーズに合わせた選択可能な診療科が示されています。

また2009年の閣議決定により、歯学部の入学定員を削減する大学に対して医学部の臨時定員の増加を認める歯学部振替枠も設けられていました。一定の役割を果たしたとして歯学部振替枠は廃止されましたが、2023年度からは同枠を新たに地域枠内の診療科指定地域枠として活用することが認められています。

参考:へき地医療と地域医療充実を図る自治医科大学

自治医科大学があるのは千葉県ですが、もともとへき地などの医療確保向上や地域住民の福祉増進を図るために全国の都道府県が共同で設立しました。そのため、自治医科大学の入学者選抜自体が地域枠に類似したシステムです。主として総合医の養成を目的とし、各都道府県から毎年2~3名が選抜されます。

自治医科大学医学部では全学生に対する修学資金貸与制度や奨学資金貸与制度があり、入学時に入学金および授業料などを準備する必要がありません。卒後は出身県に戻って公務員(医師)として地域医療に貢献し、貸与を受けた期間の1.5倍の期間勤務すれば貸与された分は免除となります。卒後9年間の研修ではへき地での勤務も含めて地域医療に従事しつつ、総合医としての資質向上や高度な専門性の習得ができる仕組みも整えられています。

医学部定員の今後の展望

医師の数は常に需給バランスをみながら調整されています。これまでも1982年や1997年には医師数を抑える閣議決定が出され、2003~2007年までは医学部の定員が7,625人にまで削減されていました。一転してその後は医師不足解消のため、2008年に定員を増やす閣議決定が出されています。

これまでの政策から考えると、医師が増えれば次は削減という方針になるのは自然の流れでしょう。医師が過剰になれば、近い将来には基本的に定員を減らす方向に舵が切られることも考えられます。ただし2023年時点では、地域の医師・診療科偏在は完全に解消されていません。こうした状況から、地域枠は拡大もしくは現在の水準を維持することが予想される一方、一般枠は縮小となる可能性も考えられます。

地域枠を狙うなら今がチャンス!

医学部は他学部に比べてそもそも学ぶ期間が多く、特に私立大学では費用もかかりがちです。医学部を狙うのなら、経済的にも負担のない地域枠のシステムを利用するのも選択肢として検討してみるといいでしょう。地域枠の定員は2023年時点でも増加されているため、狙うなら今がチャンスです。

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