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藤田医科大学入試問題のフカヨミ|メビオ数学科 亀井

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藤田医科大学入試問題のフカヨミ|メビオ数学科 亀井

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入試

メビオ講師コラム

2021/03/16(火)

医学部入試問題のフカヨミ

メビオでは問題入手可能な私立医学部では解答速報を行っています.
解答は,受験生として最も望ましい解法を掲載するのですが, なかには数学的に内容が深く興味深い問題もあって,じっくり考えると実に面白いものも多いのです.

最近解いた問題で,私が見つけた「別解」をひとつ紹介しましょう.

藤田医科大学 一般後期入試問題(2021年 3月4日実施)
問題1(9)は次のようでした.

問題1(9) $0\leqq x\leqq \dfrac{\pi}{2}$ のとき $1-(8\sin ^{3} x+\cos ^{3}x)^{2}$ の最大値は $\dfrac{\fbox{$\mathsf{ニ}$}}{\fbox{$\mathsf{ヌネ}$}}$ である。

 

普通に微分したら解けますよね.解答速報でもそうやって解いています.

でもこれはある程度数学にこだわりのある人には次のように見えるはずです.

  • 疑問1
    「正の数 $a,\ b$ において $a^2+b^2$ と $a^3+b^3$ の間に成り立つきれいな不等式はあるのだろうか?」
  • 疑問2
    「その関係は $a^2+b^2$ と $8a^3+b^3$ の関係に拡張できるだろうか?」

疑問1の答

$a=10,\ b=12$ としてみましょう.

普通の平均(相加平均)は $\dfrac{10+12}{2}=11$ です.
平均というだけあって $10$ と $12$ の間の数になっています.
相乗平均 $\sqrt{10\times 12}\fallingdotseq 10.95$ も $10$ と $12$ の間にあって相加平均以下であることは有名ですが,この問題には使えそうにありません.

しかし平均と呼べそうなものはいくらでもあるのであって,
例えば
$10^2$ と $12^2$ の相加平均 $\dfrac{10^2+12^2}{2}=122$ は $10^2$ と $12^2$ の間にあり,

その平方根 $\sqrt{122}\fallingdotseq 11.04$ は $10$ と $12$ の間にあります.

これも立派な平均です.

これは作り方から $10$ と $12$ の「2乗平均」と呼ぶべきでしょう.(2乗の平均から作った「$10$ と $12$ の」平均)

同じように考えて,
$10$ と $12$ の3乗平均は $\sqrt[3]{\dfrac{10^3+12^3}{2}}\fallingdotseq 11.09$ です.
4乗平均以降も定義できますね.

ところで
$10$ と $12$ の2乗平均 $11.04$ は相加平均 $11$ よりも大きいのですが.それはなぜでしょう.

こういうところで「そりゃそうだろう」と思えたら,あなたには数学のセンスがあります.

簡単にいうと次が成り立つからです.
2乗すれば大きい数の影響がさらに大きくなるから,2乗平均は相加平均より大きい数に近い.
するともう何が成り立つか答は見えていますね.
3乗平均は2乗平均よりも大きいだろう.

式で書くと $\sqrt{\dfrac{a^2+b^2}{2}} \leqq \sqrt[3]{\dfrac{a^3+b^3}{2}}$ となります.

疑問1の答はこれだったのです.

 

この結果は 当然任意の自然数に対する累乗平均に一般化できます.

$0 \lt m \lt n$ の場合 $\sqrt[m]{\dfrac{a^m+b^m}{2}} \leqq \sqrt[n]{\dfrac{a^n+b^n}{2}}$.

変数の数を増やしても成り立つでしょう.

$0 \lt m \lt n\ の場合$$\sqrt[m]{\dfrac{{a_1}^m+{a_2}^m+\cdots +{a_k}^m}{k}}$$\leqq \sqrt[n]{\dfrac{{a_1}^n+{a_2}^n+\cdots +{a_k}^n}{k}} $

さらには $m,\ n$ は整数でなくてもよさそうです.

実際に証明はそのように一般化して行います.
詳しくは調べていただくことにしますが,$A_1={a_1}^m$ などと置き換えると

「$\dfrac{n}{m}$ 乗平均が相加平均以上であることの証明に帰着される」

ことがわかります.

疑問2は次のように考えます.

この発想はメビオの数学模擬授業で聞いた人もいるでしょう.春期講習でも扱っています.
ただ,そのままの形ではなく発想を流用するので,そのあたりが柔軟性,応用力を要するところです.

 

$a,\ b,\ c$ に関する2乗平均と3乗平均の不等式を書いてみます.

\begin{align*} \sqrt{\dfrac{a^2+b^2+c^2}{3}} \leqq \sqrt[3]{\dfrac{a^3+b^3+c^3}{3}} \end{align*}

この式の $c$ を $b$ で置き換えると次のようになります.

\begin{align*} \sqrt{\dfrac{a^2+2b^2}{3}} \leqq \sqrt[3]{\dfrac{a^3+2b^3}{3}} \end{align*}

さらに $\sqrt{2}b$ を $d$ に置き換えます.

\begin{align*} \sqrt{\dfrac{a^2+d^2}{3}} \leqq \sqrt[3]{\dfrac{a^3+\dfrac{d^3}{\sqrt{2}}}{3}} =\sqrt[3]{\dfrac{\sqrt{2}a^3+d^3}{3\sqrt{2}}} \end{align*}

この式は $a^2+d^2$ と $a^3+d^3$ の関係式ではなく,
$a^2+d^2$ と $\sqrt{2}a^3+d^3$ の関係式になっていますよね.
疑問2もこれで解決しそうだと思いませんか.

問題1(9) の別解を完成

以上のことを踏まえて,問題1(9) の別解を完成させてみると,次のようになります.

累乗平均不等式により正の数 $a_1,\ a_2,\ \cdots,\ a_{65}$ に対して

$\left(\dfrac{{a_1}^2+{a_2}^2+\cdots +{a_{65}}^2}{65}\right)^{\frac{1}{2}}$ $\leqq \left(\dfrac{{a_1}^3+{a_2}^3+\cdots +{a_{65}}^3}{65}\right)^{\frac{1}{3}} $

が成り立つ.

等号は $a_1=a_2=\cdots=a_{65}$ のときに成立する.(証明略)

$0 \lt x \lt \dfrac{\pi}{2}$ として $a_1=\sin x$, $a_2=a_3=\cdots =a_{65}=\dfrac{\cos x}{8}$ とおくと

$\left(\dfrac{{\sin^2 x}+\left(\dfrac{\cos x}{8}\right)^2+ \cdots + \left(\dfrac{\cos x}{8}\right)^2}{65}\right)^{\frac{1}{2}}$ $\leqq \left(\dfrac{\sin^3 x+\left(\dfrac{\cos x}{8}\right)^3+\cdots + \left(\dfrac{\cos x}{8}\right)^3}{65}\right)^{\frac{1}{3}}$
$\iff \left(\dfrac{{\sin^2 x}+\cos^2 x}{65}\right)^{\frac{1}{2}}$ $\leqq \left(\dfrac{\sin^3 x+\dfrac{1}{8}\cos^3 x}{65}\right)^{\frac{1}{3}}$

これより $8\sin^3x + \cos^3 x \geqq \dfrac{8}{\sqrt{65}}$ が従う.等号は $\sin x=\dfrac{\cos x}{8}$ のとき成り立つ.

 

いかがですか.実際の解答にするには無理がありますが,応用の利きそうな手法がいっぱい詰まった解法だと思いませんか.
楽しみながらこのような知識を増やしていければ数学力が格段にアップすること請け合いです!

医学部進学予備校メビオ 数学科 講師 亀井

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