医学部受験一筋医学部進学予備校メビオ

近畿大学医学部各科目の講評および全体総括

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入試

メビオ講師コラム

2023/11/20(月)

2023年11月19日(水)に近畿大学医学部学校推薦型選抜の一次試験がありました。

2023年度入試では、志願者数681人、1次合格77人、最終合格55人でした。2024年度入試は、志願者数742人となり昨年より増加しました。合格発表に関しては、昨年同様1次合格80人前後、最終合格55人前後かと思われます。

それではメビオ講師による各科目の講評です。

英語

形式は昨年と大きな変更はありませんでした。特に取り組みにくい問題が出されていたわけでもありませんが、大問1の会話問題では、例年通り前後の情報を注意深く拾いながら、整合性のある選択肢を絞り込むといった慎重さが求められる構成となっていました。また、大問2の長文空所補充問題も、与えられた条件をよく検討すると、ほとんど1択で答えが決まるのですが、雰囲気で答えを決めると芋づる式に失点してしまう怖さがあります。さらに、大問6の語句整序、大問7の長文内容一致問題は特に難しさはありませんが、差がつきやすい面もあります。これらの大問でどこまで失点を抑えられるかが勝敗を分けることになりそうです。

数学

2023年度から、他学部と共通のマークシート形式になっています。それ以前の医学部独自の出題よりはやや取り組みやすいセットになっていますが、全体的に計算量は多めで、また方針策定に迷いそうな問題もありました。以下、大問ごとに見ていきます。

大問1
2023年度と同様に小問集合で、(1)、(2)は是非完答したい問題でした。(3)は相似な三角形を利用するなどいろいろな方法があるのですが、方針が立たなかった受験生も多かったと思われます。
大問2
4つのマスに6種類のコインを並べる場合の数の問題でした。与えられた条件から使うコインと使わないコインをしっかり見極める必要があります。昨今のトレンドでもある長めの問題文だったのですが、題意を掴むことができれば最後までたどり着くことも可能で、粘り強くやり遂げたいところでした。
大問3
頂点についての条件をもとに2次関数の係数を決定する問題でした。頂点の座標がやや複雑なので正確な処理力が求められます。頻出である1/6公式や、 座標平面上での三角形の面積公式などをいかに使いこなせるかで差がつきそうな問題でした。

どの大問も完答するのは容易ではなく、どれだけ粘り強く立ち回ったか、という勝負だったと思います。目標は70%というところです。

物理

2024年度は2023年度よりも難化しました。例年大問3問の形式でしたが、2024年度は大問2問の形式でした。大問1はA~Cの3つのテーマに分かれており、実質大問が4題が出題されたとも言えます。

大問Ⅰ-A [ 力学:ロケットの推進原理 ](やや難)
文字が多く、計算が煩雑になり易い問題です。空欄3、4は誘導にのらずに、空欄1、2と同じ考え方をした方が速く解けます。空欄5以降を答えるのはかなり難しいでしょう。
大問Ⅰ-B [ 電磁気:イオンエンジン ](標準)
空欄9が答えられれば最後まで解答可能な問題です。できれば完答してほしい問題です。
大問Ⅰ-C [ 力学:万有引力 ](標準)
万有引力による円運動の力学的エネルギーが、位置エネルギーの1/2になることが導ければ最後まで解答可能な問題です。こちらもできれば完答してほしい問題です。
大問Ⅱ [ 熱:熱機関 ](やや難)
熱機関に関する問題です。与えられたサイクルはディーゼルサイクルと呼ばれているサイクルです。締め切り比という値が出てきて驚いた受験者も多かったことだと思います。空欄7まで答えられれば十分だと考えられます。空欄8以降は難しく、時間的余裕のない受験者が多かったことでしょう。

例年通り、グラフを描く問題が出題されましたが、今回は2問で2023年度よりも2問減りました。空所の総数は33問で、2023年度より2つ多いものの、ほぼ例年通りです。大問Ⅰ-Aに時間をかけすぎてしまうと全ての問題に手をつけるのは厳しくなります。大問Ⅰ-A後半や、大問Ⅱの後半のように計算に時間がかかる問題を上手く飛ばすことができたとして、7割程度が得点の上限でしょう。目標は、55%です。

化学

問題形式、および問題の総量については例年どおりでした。問題の難易度は2023年度より上がった問題と下がった問題が入り混じっていましたが、平易な問題の難易度がかなり取り組みやすくなっていたこと、計算問題の数値設定が計算しやすい値に設定されていたことを考えると、全体として2023年度よりやや易しくなったのではないかと思われます。試験中に難易度を見抜いてうまく立ち回ることが求められたと言えるでしょう。一次合格の目標としては65%と見ています。以下に、問題ごとの講評を記します。

Ⅰ問(1)
酸・塩基や溶液に関する出題で、正解にたどり着くためには濃度の変換、中和の量関係などの複数の分野に渡る力が求められたので、得点差がつく問題だったと予想されます。
Ⅰ問(2)
金属陽イオンの分離に関する知識問題で、典型的な暗記事項が身についているかどうかが問われました。落ち着いて取り組み、失点をできるだけ抑えたい設問でした。
硫酸銅(Ⅱ)の無水塩ならびに五水和物の水への溶解を題材にして、化学平衡・溶液・熱化学の各分野から出題されている複合題でした。また、記述問題が2題あったことは特徴的でした。いずれも字数制限はあるもののその指定が幅広かったため、内容が理解できた受験生にとっては規定の字数に収めることにはそう苦労しなかったのではないかと思われます。計算問題は一つ一つを見るといずれも典型題ではありましたが、適切な解法を手際よく選択できたかどうかで要する時間と正答率には大きく差がつく内容でした。
Ⅲ問(1)
有機化合物に含まれる元素の定性分析についての知識問題で、どれも教科書レベルの基本的な内容が問われた設問でした。取りこぼしなく確実に得点したい設問です。
Ⅲ問(2)
有機化合物の分子式決定と、その異性体についての設問でした。分子式決定の際の計算が割り切れないので戸惑った受験生もいたかもしれませんが、端数を切り捨てて概算すれば容易に正答にたどり着けるため、差はつかないと思われます。得られた分子式 C5H12O の異性体についても基本的なところを問われていたため、失点をできるだけ抑えたい設問でした。
生物

昨年よりも、空所補充問題の割合が大幅に増加しました。また、空所を埋めるためのリード文やヒントが例年よりも丁寧に作り込まれていたため、点を集めやすくなった印象です。論述をどれだけまとめきれたかで勝負が分かれたのではないかと思います。全体的に、受験生がどれだけ真面目に学習に取り組んできたかが反映されやすい良問でした。目標は80%です。

Ⅰ [DNA複製](標準)
問3はメビオの近畿大学医学部模試(大問Ⅲ・問2)で扱っていたため、模試の復習をしっかりしていた受験生は得点できたでしょう。問8のテロメアに関する設問については、やや詳しい知識が必要になりますが、それ以外は取り組みやすい大問でした。
Ⅱ [血糖量調節](やや易)
全体的に非常にオーソドックスな内容で得点しやすかったのではないかと思います。問1のインスリンの分泌機構に関する部分はやや発展的な知識が問われているものの、リード文中のヒントに気づくことができれば解答できたでしょう。
Ⅲ [ヒトの視覚](標準)
問3の明暗調節に関する設問では、「瞳孔括約筋」「瞳孔散大筋」という2種類の筋肉の名称を知っていれば解答できたでしょう。また、問5の結合繊毛の微小管配置に関する設問は、精子鞭毛の微小管配置が「9+2構造」であることを知らないと解答できないため、差がついた可能性があります。

メビオの近畿大学医学部推薦本科の授業でも「ヒトの視覚」については扱っていたため、テキストをしっかり復習していた受験生は全体的に得点しやすかったでしょう。

全体総括

2024年度は理科の難易度の差が大きく、(中央値補正があるにせよ)どの科目を選択したかによってある程度有利不利が出てきそうです。おそらく生物選択者にとっては有利に働くでしょう。1次合格突破ラインは230点前後と予想します(2023年度は222点)。

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