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第1回 京都大学 阿形清和教授 Part 3

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第1回 京都大学 阿形清和教授 Part 3

メビオ卒業生

メビオ講師コラム

2018/11/20(火)

これまで38年間のメビオを支えてくださった方々、現在のメビオを支えている講師、医療の現場で活躍している卒業生など、関わりのある方々との対談などを通じてメビオの姿を紹介していきます。

阿形教授はメビオ創設時、生物の講師としてテキスト・指導体系などの基礎をつくり上げてくれました。
彼と私は京都大学に学び、サッカーチームを通して交友を深めてきました。
阿形教授は、監督を務めた私のもとプレイヤーとして活躍する存在であり、また切磋琢磨し合えるチームメイトでもありました。
メンバーそれぞれが研究・実験と忙しい中、週1回の練習だけで、我々のチームは天皇杯の京都代表をかけた決勝戦まで勝ち進むという好成績をあげていました。

ゲームを控えての戦術・戦略、そして若いメンバーをどう育てていくかということなどを熱くそして激しく語り合ったものです。
そして今でも会うたびに、日本サッカーの未来、ライフサイエンス、若者に対する教育などについて何時も語り合っている仲間です。

京都大学 理学研究科 教授
発生生物学会・動物学会前会長

1981-1983年アレフ会(現メビオ)で生物講師を務める。
1979年 京都大学 理学部卒業
1983年 京都大学大学院 理学研究科 修了
1983年より基礎生物学研究所助手、1991年より姫路工業大学(現・兵庫県立大学)理学部生命科学助教授、2000年より岡山大学理学部教授、2002年より理化学研究所発生再生科学総合研究センター・グループディレクター専任、2005年より京都大学大学院理学研究科教授
第35回日本分子生物学会年会長、日本発生生物学会、日本動物学会会長などを歴任。

※プロフィールに関しては対談時のものとなっております。

Part 3 あの大学にはあの先生がいるからこの範囲の問題が出て、この範囲の問題は出ないということはある程度読める。

阿形
今医学部は面接を重視している。試験制度もそういう方向に動いているし、問題の傾向に対応するのも大変だね。

萩原
阿形さんがメビオで授業をしていた時、大学ごとに授業で扱う範囲を切り捨てる大胆さには驚かされた。「この範囲は、やらなくていいの?」と聞くと「この大学では絶対に出題されない、僕は私立医大の生物の先生はみんな知っている。何を研究しているのかもみな分かっている。この大学の先生はこの範囲は絶対に出題しない」と言い切ったよね。

阿形
出題者の側に立って考えると、自分の得意な分野以外から入試問題を作るのは不安なの。

萩原
不安だよね。

阿形
不安、まったく不安。オリジナルに作って出題するのはとにかく不安なの。後からクレームなどの細かいチェックが入るから不安なの。だからあの大学にはあの先生がいるからこの範囲の問題が出て、この範囲の問題は出ないということはある程度読めるわけ。

萩原
以前、大阪大学の数学の准教授の方と話したことがあるんだけど、入試問題を作成したとき、「初めに自分が問題を作り、それが5人ほどの問題制作担当者の手を経て戻ってきたら、自分が作った問題の原型とはまるで違ったものに変わっていた」と話してましたね。総合大学ではそれだけのチェック体制がある。それに対して単科大学の先生は不安だろうな。メビオの生物の問題演習では、とくに最近のDNAなどの研究に関する新しい問題は、例えば北海道大学や東北大学などの国公立大学の過去問に網を張っているんだ。一旦チェックが効いて出題された問題をベースにすれば、単科大学の先生も不安無く出題してくるという読みでね。

阿形
いい狙いだな。今年から新課程の範囲からの出題に変わるんだけど、出題範囲に関しては注意した方がいいな。文科省の指導要領以外の範囲から出題されることもあり得るということなんだ。大学の教員の8割方は新課程、旧課程の範囲を知らないんだ。僕たちのように教科書を編纂している人間しか正確には知らない。教科書を作る側からすれば、指導要領以外の内容をのせる場合には教科書本文には載せられないから、エキストラで学ぶコラムという形で扱うわけ。コラムというのは要するに指導要領の外なんだ。生物学は急速に進化しているからこのコラムで扱う範囲がどうしても多くなる。入試に出してはいけない範囲なんだけど、大学の出題者は教科書4冊のうち3冊に出ていればそれがコラムとして扱われていても出題していいと思っているんだ。総合大学の場合には指導要領の範囲内かどうかだけを見ている担当者がいて、そこでチェックが効くわけだけど、医学部とくに単科大学の医学部では各教科の担当の先生が少ないからチェックが効かないで、指導要領以外の内容がどうしても出題されてしまう。

萩原
最新の生物学はおもしろいから、大学の先生は出題したいと思うだろうね。物理の講師に、ノーベル賞の内容で入試に出題されるのは何年ぐらい前のノーベル賞かと聞いたら、1930年代までだと言うんだ。それに対して生物では、山中伸弥さんがヒトiPS細胞を新聞発表したその3カ月後に慶應義塾大学の医学部がiPS細胞を入試に出題した。良い問題だったけどちょっと早すぎるよね。

阿形
アッハハッハ。Oさんだ、Oさんが出題したんだ。

萩原
やっぱり分かるんだね。

阿形
そりゃそうや。自分が研究していることは出題したいからね。

萩原
生物の困る点は、iPS細胞とか転写因子などの新しい内容が増え続けている割には、ジュラ紀の恐竜などの範囲が消えない。範囲は増える一方。

阿形
アハハハ。減らないんだよな。増えるんだよな。アハハハ。

萩原
うわさで一時メンデルの遺伝が消えるという話があったけど、これが消えていない。あれが無くなると、教える方としては時間的には少し楽になるんだけどね。

阿形
多分無くなるね。古典的な研究だから入試問題から一挙に消えるだろうな。メンデルは削った方がいいな。他のことをやったほうがいいね。メンデル遺伝を出題したら怒られるという感じの時代になってきたもんね。DNAがここまで分かってきたらちょっとあれは…。これまでの出題者の意識からすると、メンデル遺伝は計算問題だから、採点がしやすいので出題していたんだと思う。

最先端の研究のその先端を知っている人材は貴重なんだ。

阿形
ところで今メビオの講師の中に生物の研究者はどれくらいいるのかな。

萩原
4人いるんだ。6年ほど前に阿形さんが紹介してくれた富永もその一人で、去年からメビオの生物の主任講師になってもらっている。

阿形
オッそうか。メビオの主任講師か…。グッドニュースだ。それはうれしいな、今日のベストニュースだ。彼は学生の時からマスターまでおれのところにいて、ドクターから理化学研究所に移った。その後、おれと京大で発生学の研究をしていた時に、メビオに紹介したんだ。丁寧な実験をするやつなんだ、あいつ。

萩原
富永は「この仕事の方が自分に合っている気がする」といってくれたので、是非ということになったんだ。生徒に対する面倒見が実にいい先生だね。

阿形
優しいやつなんだ。彼の人柄を考えたら、高校生とか生物が不得意な生徒にとっては、すごく良い先生だと思うよ。彼のおかげで合格したという生徒がこれから何人も出てくるだろうね。

萩原
富永は「メビオではどの科目の講師も、まだ完璧じゃない、まだ完璧じゃないと思いながらテキストを改訂したり、授業内容を工夫し続けている。その、どこまでもゴールが無いところが研究と同じで、おもしろい」と言ってるんだ。

阿形
オッ、楽しんでやっているんだな。

萩原
今生物のテキストの改訂をやっていて、「発生・DNAの範囲はすごく良いのができましたよ」と胸を張ってたよ。

阿形
マウスのES細胞の専門家だからな。

萩原
最先端の研究の、さらにその先端を知っている人材は貴重なんだ。そういう人の持っている知識の深さとバックグラウンドの広さを生徒に見せてあげたいんだ。

阿形
そういう意味で、富永はうってつけだね。

萩原
優秀な講師を紹介していただいたことを感謝していますよ。次の機会には富永を加えて3人で話をしましょう。今日はいろいろな話を聞かせていただいて、ありがとうございました。

阿形
こちらこそ、グッドニュースが聞けてうれしかったね。実は来年のサッカーのOB会はバルセロナでやろうと考えているんだ。バルセロナから来ている研究者がいて、その人にグラウンドと対戦相手の確保を頼んでいるんだ。必ず実現させますよ。

萩原
国立競技場の話が無ければ笑ってすます話だけど、阿形さんが言うと実現しそうな気がしてきますね。また1年間良い夢を見させてもらいましょう。

2015年10月