~メビオ創立30周年によせて~
第1回 OB医師からのメッセージ
中野 崇秀(なかの たかひで)
- 1984年 高校3年生より在籍
- 1986年春 関西医科大に合格、進学
- 1992年 関西医科大卒
- 2009年 関西医科大学附属枚方病院
小児科病院講師・教育医長
日本小児科学会専門医
「受験のための技術ではなく、“勉強の体力”が身につきました。」
高校3年生の時から2年間、メビオに通ったのは、今から20数年前のことです。現役時代に歯科大をめざし合格しましたが、やはり医学部へ進もうと、入学を辞退し、医学部受験に向けてメビオでもう1年学ぶことにしました。亡くなられた前代表の上田先生、現代表である萩原先生、川島先生、谷口先生に教えていただきましたが、「やっておきなさい」というのではなく、「一緒にやっていこう」という姿勢を強く感じました。“近所のお兄さん”に勉強を教わっているような距離感も印象に残っています。基本に立ち戻り、ゼロから始めて0.1・0.2・0.3……1……と引き上げていく――まさに「三歩進んで二歩下がる」というペース。決して焦らされることなく、見捨てられることもなく、引っぱっていただき、時には厳しく正され……こうした2年間を通して、受験のための技術ではなく、“勉強の体力”といえるものが身についたと思っています。
「メビオで学んだ“勉強の仕方”を、医学生になってもぜひ忘れずにいてほしい。
振り返ってみるとメビオの指導には“ごまかし”がなかった、と思います。多くの時間を費やし、難問を解くために必要となる基本を、繰り返し教えていただいたことに感謝しています。ゆっくりでもいいから、基礎を着実に積んでいく——その大切さを私はメビオで学びましたし、このことは医師となった今も大いに役立っています。たとえば採血ができない、糸も結べない人間に手術ができるか、といえば決してそうではないように、最も手前のことからひとつずつレベルアップしていくことは遠回りではない、と考えています。小児科医になり16、7年になりますが、私にはまだ知らないことがたくさんある、できないことがある、と感じることが多々あります。学ぶ努力をしないでいることは、我々のように命を預かる立場の者にとっては、怖いことです。また現場にいる限りは専門医・認定医といった資格を得てスキルアップしていかねばならない、そして最新の知識を学び、経験を重ね、技術を磨いていかなければ最前線にいることはできないという、厳しい時代になっています。学ぶことは確かに努力を要することではあるのですが、苦に感じたことはありません。それは、メビオで“勉強の仕方”を教わったおかげでしょう。医学生はもちろん、医師に要求されることの膨大さ、その大変さについて、私自身医学部をめざしていた頃は想像もしていませんでした。勉強の仕方が身についていなければ、おそらくどこから手をつければよいのかもわからなかったでしょう。受験生である皆さんは、目前にある入試をクリアすることで精一杯でしょうが、せっかくメビオといういいシステム、いい環境で学んだのですから、大学に進んだ後、今までのことをリセットしてしまうのではなく、ぜひメビオで身につけた勉強の仕方を自分のものにし、学ぶことを続けていってほしいと思います。勉強の仕方を知っている人は、自分自身を磨いていくことができるはずです。