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医学部の地域枠ってなに?卒業後はどうなるの?

基本情報

2020/01/22(水)

(最終更新日2022/06/30)

医学部受験の経験者であれば、一度は耳にしたことがある「地域枠入試」。皆さんはその実態をご存じでしょうか。

医学部の地域枠入試は地域医療に対する拡充が期待されています。このため、受験をする時には受験生自身がしっかりと目的・概要を意識する必要があります。ここでは、医学部を受験する前に知っておきたい地域枠入試のポイントを詳しく紹介します。

医学部の「地域枠」とは?

医学部の地域枠は医療において欠かすことができない存在です。まずは地域枠という制度についてしっかりと理解を深めておきましょう。

地域医療を支える医師を補う制度

日本の医療が抱える代表的な問題点の一つとして挙げられるのが、地域医療の問題です。首都圏では大きな病院が建ち、十分な医師を確保できている一方、地方都市の中核病院は地域医療を支える医師の不足に常に悩まされています。医師不足は非常に深刻な問題です。問題解消のためには、地域医療の充実と、日本全国どこにいても十分に安心できる医療環境づくりが必要不可欠です。そのために、医学部受験に地域医療を支える医師を補う地域枠という制度が設けられています。

全国の医学部には、大学設立地域の医療を支えることを目的とした地域枠が確立しています。特に地方の大学では、地域枠の受験者に対して大学独自のさまざまな取り組みを行い地域医療に従事する医師の確保に努めています。

たとえば、都心部にある順天堂大学では東京・新潟・千葉・埼玉・静岡の地域枠を受け入れており、学費の負担を減らしながら通学できるような対策が行われています。東京にも地域枠が必要になるのかと疑問に思うかもしれませんが、東京都であっても山間部や離島の医師不足が問題視されていて、このような僻地の医療を支える人材は他県と同様に求められています。

地域医療を支える医師の存在は非常に重要です。地域医療の担い手を希望する人は、地域枠入試を検討するのも良い選択といえるでしょう。

地域枠入試の目的

地域医療の拡充のために地域枠があるのは、じつは卒業後の医師の進路決定が大きな理由になっています。医師というのは非常に自由度の高い働き方ができ、卒業してからの初期研修を2年行ったあとは、自分の望む診療科に進むことができます。

このため、通常の一般入試で大学に入った学生がその地域で必要とされている診療科に進まずに他の診療科の医師になり、地域の需要と供給を満たせないことが問題視されていました。また、卒業後は医師不足に悩んでいる地域ではなく、首都圏や大都市で勤務する人が多いため、地域医療の担い手が確保出来ず、各大学で地域枠を設立する流れができたのです。

地域枠はその地域に居住している人を対象にその地域の医師として働く意思のある人材確保を行っています。あらかじめ勤務地や診療科を絞って医師を集めることができるので、地域枠を通じて不足している診療科の医師の充実を見込むことができます。

地域枠を受験するときにはこのような地域枠設立の流れをよく理解したうえで受験するように心がけましょう。

地域枠入試のメリット・デメリット

地域枠入試は非常に魅力のある入試制度でたくさんのメリットがあります。しかし、残念ながらデメリットもあるので注意が必要です。ここでは地域枠入試のメリットとデメリットをご紹介します。

奨学金を得られる

地域枠の一番のメリットは費用の負担を小さくできることです。地域枠で大学に入学をすると、授業料だけではなく生活に充当できる奨学金を得られるのが一般的で、入学後の経済的な負担が非常に小さくなります。

また、卒業後に指定された医療機関で一定の期間勤務することで返済が免除されるので、毎月受け取った給料のなかから支払いを行う必要もありません。このように生活費も支援してもらえる制度が受けられれば、在学中のアルバイトを減らすことができるので、テスト前や勉強が忙しい期間に勉強に専念できます。学習内容も難しく、幅広く学ばなくてはならない医学部の学生にとって大きな魅力です。

入学後の豊富な実習

入学後の豊富な実習も地域枠入試の大きな魅力といえます。医学部では地域枠独自の実習があり、他の学生よりも在学時に多くの経験を得ることができます。さらに地域医療に特化したサークルに参加するとさまざまな経験を積むことができます。地域医療について特化した実習を経験することで、多くの患者さんと出会い、より多くの医師から教育を受けることができるのは重要なメリットです。

医療では、経験値が非常に重要な要素です。地域枠の学生は他県への見学も大学負担になるので、一般入試を経験した学生と異なり、大学からの経済的な支援を受けることができます。しっかりと経験を積み、医師の養成課程を経験できるのは医学部生とって大きなメリットといえるでしょう。

地域枠入試はここに注意

受験可能な条件をよく確認しよう

地域枠の入試を検討する時には、まず受験の条件をしっかりと調べておく必要があります。地域枠入試では出身地や出身高校、年齢などの制限が設けられていることがあり、場合によっては出身高校の成績に制限がかけられていることがあります。

受験可能な条件は大学によって異なるので、希望する大学の条件を事前に確認するようにしましょう。

奨学金の金額にも注意

奨学金の金額も確認しておきたいポイントです。地域枠入試を経験した学生が卒業後にどれだけの借金を抱えることになるのか、そしてその借金に対して納得がいくのかどうかは重要な判断のポイントです。医師といえども激務によって体調を崩すこともありますし、場合によっては勤務を続けることができないこともあります。

健康を害し、所属自治体から求められる働きができない時に大きな借金を抱えてしまうのは大きな負担になります。自身の生活や人生設計に関わる大切な問題なので、どれだけの借金を抱えることになるのかという視点で確かめておきましょう。

卒業後の勤務地も事前に確認

卒業後の勤務地についても把握しておきたいポイントです。卒業後にはどのような病院で勤務できるか、病院の情報をあらかじめしっかりとリサーチしておきましょう。例えば勤務地が僻地にある場合には、さまざまな診療科の患者さんの治療を行う必要はありますが、それにより医師として貴重な経験を積むことができるかもしれません。

また、地域によっては医師として経験できる疾患に限りがあることもあります。経験を積むためには非常に稀な疾患まで把握しておく必要があり、そのためには大学病院などの大きな病院である程度研鑽を積む期間が必要です。

県外のどこからでも出願できる地域枠の制度のなかには卒業後に強い縛りが課せられることもあるので、勤務地や条件の確認を忘れないようにしておきましょう。

まとめ

地域枠入試は受験生にとって魅力的な制度といえます。しかし、一般入試よりも得点率が低い学生でも入学できる反面、卒業後の進路に縛りがあったり、希望する働き方ができなかったりすることもあります。あらかじめどのような病院に勤務するのか、どのような制度なのかを適切に把握することが必要です。

地域枠の設立意義を理解し、情報を集めながら受験するように心がけておきましょう。

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