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医学部入試の小論文対策|出題テーマや書き方のコツなどを解説します

受験計画

2019/10/29(火)

(最終更新日2023/05/17)

医学部の小論文のテーマには主に医療関連の話題が出題されるため、適切な対策を立てて臨む必要があります。医学部入試の小論文の頻出テーマ・書き方のコツをよく知り、合格に必要な基礎知識を身につけましょう。

医学部の小論文試験の概要

私大医学部で頻出の小論文

私大医学部受験者にとって小論文の対策は、他の科目に比べて厄介だと感じることが多いでしょう。小論文は多くの私大医学部で出題されるため、どうしても対策しなければいけませんが、評価の方法が不明瞭であるため、効率的な対策の立て方がわからず、受験生にとっての悩みのタネの1つです。

小論文試験の出題形式

小論文の設問はさまざまで、1つのテーマが与えられ規定の文字数内で意見を求められるものや、英文読解を要求されるもの、日本語の長文が与えられ意見を記述するものなどさまざまです。小論文の出題内容は大学による差が大きいのが特徴で、受験予定の大学別に適切な対策を立てなければ合格に必要な得点が取れないおそれがあります。
 

まずはテーマの与えられ方、課題文の長さ、英文読解の有無、指定文字数といった切り口で出題形式を調べ、大学別の傾向を読み取りましょう。

国公立大学では小論文試験の実施が少ない

国公立大学は私大医学部と異なり小論文試験の実施は少ないです。国公立大学の前期日程では基本的に小論文を課されることがなく、後期日程で初めて小論文が出題されるので、小論文の対策は国立大学前期試験を終えてから始める人もいます。そのため、国公立大学のみの受験を検討している場合には、まずは前期入試で志望校に合格できるように、二次試験の対策を入念に行うようにしてください。

医学部小論文試験の出題され方と狙われやすいテーマ

医系小論文の出題のされ方には一定の傾向があります。頻出のテーマと出題傾向をよく知っておきましょう。

小論文の出題のされ方

小論文の出題のされ方は非常にシンプルで、なんらかのテーマが与えられ、そのテーマに対して意見を述べるという形式です。テーマの出題のされ方にはさまざまなバラエティーがあり、最も多いのが長文を読解させ、その内容についての意見を述べるものです。
 

テーマは繰り返し出題される定番の話題もありますが、設定された文字数や出題される文章のテーマが異なると書き方も変わってきます。小論文は基本的にはなんらかの長文が与えられ、課題文を読んだうえで意見を述べるとイメージしておきましょう。

頻出テーマは医療の話題

医系小論文の頻出のテーマはやはり医学・医療の話題です。出題されている話題としては「医療技術の進歩で人は幸福になったか」(東北医科薬科大)や「お金がない人が治療を受ける権利について」(慶應義塾大学)といった生命倫理寄りのテーマや、「人工知能の発達による医師の役割の変化」(自治医科大学)などの最新の医学とテクノロジーのかかわりに関する話題についての出題もあり、多様性があります。

過去の出題内容から判断すると、医療以外の話題を出題する大学は限られていて、順天堂大学・埼玉医科大学・国際医療福祉大学・杏林大学・東京医科大学などの大学がこれに該当します。これらの大学は、今後も医療以外のテーマが出題される可能性がありますが、記述する際には医療と関連づけた記述をすることもできるため、やはり医療系の話題にしっかりと精通する必要があります。

医療以外のテーマ例

医療以外の話題を挙げる大学もいくつかありますが、この傾向にある大学の出題テーマもある程度大きく分類することができます。

倫理的・文化論な話題を出題するのは獨協医科大学・東京医科大学などが該当し、これらの大学では著名な哲学者や文化人の著書を題材にした出題が行われます。東京医科大学ではかつて神谷美恵子という精神科医として世の生きがいを問うた高名な著者の文章を出題しています。この他にも河合隼雄のような現代文でも医学部以外の小論文テーマとして頻出している作家の著作は医学部の小論文でも出題されたことがあります。

一方、順天堂大学や国際医療福祉大学は他の大学と異なる出題をすることで知られています。順天堂大学では、絵や写真を与え、それを元に小論文を書かせるという独特な出題がありました。国際医療福祉大学は、世界の情勢や社会問題について出題されていて、解答するには社会科科目の政経や現代社会などの知識、時事ニュースから得られる情報が必要になる大学が出題されます。

この他にも、サイエンス視点の文章を元に、理科学的な総合視点を問う問題が出題されることもあります。医学部の小論文だからといって医療のみの話題が出題されるとは限らない大学もあることを覚えておきましょう。そして、自分が受験する大学の傾向を理解し、受験に臨むようにしましょう。

英文読解を要求されることも

大学によっては英文読解を課されることがあります。英文の内容はかなり高度な自然科学系の論文が題材になることもあり”Science” ”New England Journal of Medicine” “Nature” “Cell”と言った著名な雑誌が題材になります。直近の雑誌からの出題とは限らず、2~3年前に掲載された文章が出題されることもあるので、英文をテーマにした小論文を出題する大学を受験する場合は、定期的にこのような雑誌を読んで慣れておくことも対策のひとつになります。

小論文の採点基準

文章の構成が基本

小論文の対策の基本は採点基準の把握です。小論文の採点基準の基本は、文章構成が合理的であるかどうかだといえます。そこで、まず文章の構成をしっかりとたて、読みやすい文章を作ることを心がけましょう。印象に残るような文章を書こうとして、難解な文章にするよりも無難で読みやすく、論理の破綻のない文章に仕上げることが肝心です。

小論文は序論・本論・結論という基本的な構成要素があるため、この基本に従って文章が書けるようにすることが大切です。基本に沿った書き方をするのがベターだと覚えてください。
 

論理性のある文章が求められる

文章の基本構成以外の評価ポイントは文章の論理性です。さまざまな論文を引用して、複数の論拠を示す必要はありませんが、主張したい部分ではしっかりと根拠を明示したうえで論を展開する文章に仕上げる必要はあります。

小論文で求められる論理性は「○○だから▲▲」という原因と結果にずれのないことです。まずは自分の根拠を明確にするというスタンスをイメージしてみましょう。

医療人としての適性がポイント!

文章の構成と論理性が担保された後に考えるのは医療人としての適性を示すことです。医療は病める患者さんを相手にしたもので、時には自分が経験したことのない状況にある人の心情を察し、その人の立場に立って考え行動する必要があります。

このため、医療人としての適性を示すことが何よりも重要で、人道的に問題のある内容では当然不合格という判断が下ります。人としての優しさ・温かさ・道徳的な側面までしっかりと気を配った文章を作るように意識をしましょう。

小論文試験の基本的な書き方と構成のポイント

小論文を執筆する際に注意したいのが、基本的な書き方に関する知識と構成のコツです。そのためにも、医療系の情報・話題の集めることも重要な受験対策になるので、医学部を受験するのであれば必ずおさえておきましょう。

小論文の基本の流れと注意点

小論文の基本的な構成は序論・本論・結論という流れです。それぞれの特徴を理解しましょう。

  • 序論は文章の下準備

序論というのは文章の導入というイメージを抱きがちですが、小論文では下準備と捉える必要があります。小論文は短い文章の中で自分の意見を表明する必要があるので、序論の段階で、これから自分が話したい内容(=本論)のために必要な下準備をする必要があります。
与えられたテーマに対して必要な医療の話題、それについての一般的な見解、一般的な情報を紹介し、序論の最後の部分でこの話題に対する疑問と自分の立場を提示する必要があります。

具体的な例を挙げてみましょう。近年医療の世界で話題になるゲノム編集という問題を提起してみます。書き出しとしては以下のような内容が一般的です。

「近年ゲノム編集という、いわゆる「神のハサミ」と呼ばれる技術が台頭し、昨今ではさまざまなゲノム編集を施された食品の販売が容認された。」

一般的に広く話題に上がるものを紹介し、今後の文章につなげるために、次はその話題と医療を関連させた話題を提示します。

「ゲノム編集は特定の遺伝子の働きを無くす技術で、現在医療の世界でもゲノム編集技術に対する期待が高まっている」

その後、以下のように疑問を提示すると序論の締めくくりになります。

「このゲノム編集は、確かに医療を大きく発展させる可能性がある。しかし、この技術を利用することは本当に人々の幸福を生み出すのだろうか。私はそうは思わない。」

このように疑問を提示しながら、自分の立場を明確にすることで、本論へとつなげることができます。このような基本的な流れを身につけることを目指しましょう。

 

  • 本論で論理を展開する

本論で必要なのは序論を元にした自分の意見の表明です。序論で提示された話題と疑問に対し、自身が持つ問題意識とその解決策、それを導き出した論拠を示す必要があります。本論の前半に問題意識、後半に解決策と提示する展開が一般的です。問題意識やその解決策は、人によって内容が異なるため、情報を元に自身の意見を考えて語るようにしましょう。そのためには、日頃から情報に対して多角的な視点を持ち、浮かんだ問題意識や疑問に対する回答を考え抜く練習を積みましょう。

 

  • 結論は読者の印象に残るように

結論はここまで述べてきた内容の締めくくりになり、筆者の立場を今一度明確にする場所です。出題テーマにもよりますが、この部分では将来への展望・未来への前向きな姿勢を出すと高評価を得やすくなります。結論は読み手の印象に残りやすい部分です。前向きかつ患者さんを思う姿勢を打ち出せるように心がけましょう。

論理性を出すにはここに注意!

文章の大まかな流れはつかめたと思いますが、実際に論理性を出すにはいくつかのコツがあります。論理性を出すには、意見に合わせて根拠・原因を必ず述べなければなりません。またその内容には、信憑性のある情報・事実を提示する必要があります。論理性を保つためにも、日頃から医療に関する情報を集めて知識として頭の中にストックしておくようにしましょう。

医療系の話題にはこうして対処しよう

医療系の話題や情報を手に入れることを、難しく感じる受験生も多いでしょう。そのため、身近に活用できる情報収集の方法や対策方法を見つけておきましょう。

まず、最も簡単な情報収集は、予備校や塾で医学部用の小論文対策の授業を受けることです。授業の中で先生から紹介される頻出の医療トピックについて理解を深めるといいでしょう。また、授業で使われるものや市販の医療系小論文の参考書でも詳しく医療系の話題について解説されているものがあるので、合わせて活用するようにしましょう。
 

これらの方法以外には、医学部の学生が利用している基礎的な書籍を利用する方法です。受験生にとって使い勝手がいいのは疫学と呼ばれる分野の書籍で、今現在の日本の医療にまつわるさまざまなデータを手に入れることができます。日本の医師の数、日本人の死因などの信頼できる情報を手に入れたい時には疫学の簡単な書籍を手にとってみましょう。

まとめ

医学部入試で出題される小論文は、他の教科と違った準備が必要だと理解してもらえたでしょう。対策が大変であっても、医学部の学生になり、卒業後に医師として働き続ける時には科学だけでなく小論文のトピックにされるような倫理観が必要になります。医師としての適性を審査される小論文は医学部に入学するための重要なポイントです。しっかりと適切な対策を立て小論文に取り組むように心がけてください。

小論文対策についてもっと詳しく

医学部に入りたいなら、とにかくまずは1次試験に通らなくちゃ!と、ついつい後回しになりがちな小論文・面接の対策。
でも、1次試験の合格発表から2次試験までわずか2~3日しかない、という大学は珍しくありません。 最難関と言われる医学部の1次試験にせっかく合格したのに、小論文・面接の準備ができていないなんてことにならないよう、 無理なくしっかりと小論文・面接の準備を進めていきましょう。
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