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【講師監修】藤田医科大学医学部の入試傾向と対策ガイド|2026年度入試対応|医学部進学予備校メビオ

基本情報

2023/11/26(日)

(最終更新日2025/11/26)

藤田医科大学医学部は、高度な臨床教育と多職種連携を重視するカリキュラムを提供し、私立医科大学の中でも全国的に高い注目を集めている大学です。

2026年度入試では、これまでの制度をおおむね継続しつつ、学費の大幅な引き下げが実施されたことで、志願者の増加と競争激化が予想されます。こうした変化に対応し、確実に合格を目指すには、入試制度や出題傾向を正確に理解し、それに沿った学習計画を立てることが不可欠です。

本記事では、藤田医科大学医学部の基本情報から、2026年度入試の最新動向、科目別の出題傾向と対策、面接やMMIの準備方法まで、受験に必要な情報を総合的に解説します。これから受験を迎える高校生・既卒生はもちろん、保護者や教育関係者の方にも、ぜひご活用いただきたい内容です。

1. 藤田医科大学医学部の基本情報

1-1. 大学の沿革と教育理念

藤田医科大学の前身は、1968年に開学した名古屋保健衛生大学です。1972年4月には医学部医学科が設置され、以来、医師養成を担う大学として発展を続けてきました。1984年に藤田学園保健衛生大学、1991年に藤田保健衛生大学へと改称され、2018年には現在の「藤田医科大学」となりました。

建学の理念である「独創一理(どくそういちり)」は、「一人ひとりの創造力が未来を切り拓く力になる」との考えのもと、自由な発想と科学的探究心を重視する教育精神を表しています。

この理念に基づき、医学部では以下の三本柱を基軸とした教育プログラムが提供されています。

  • リサーチマインドの涵養
  • グローバル化
  • 最先端医療、地域医療、介護福祉を担える新医療人の育成

これらを通じて、独創的な学究精神と国際的視野をもち、医学・医療の多様な分野でリーダーとして社会に貢献できる、誠実で謙虚な医師の育成を目指しています。

1-2. 所在地・アクセス・学生数

藤田医科大学医学部は、愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1‑98にある豊明キャンパスに設置されています。キャンパス内には大学本部、医学部、附属病院、研究施設などが集約されており、教育と臨床の場が隣接しています。

交通アクセスは、名鉄名古屋本線「前後駅」からスクールバスが運行されているほか、地下鉄桜通線「徳重駅」からは名鉄バスおよび市営バスを利用することができます。名古屋市内や周辺地域からの通学手段が複数確保されています。

2024年5月1日現在、医学部医学科の在籍者数は737名です。大学全体では、医療科学部、保健衛生学部、大学院を含めて3,146名が在籍しています。

1-3. アドミッション・ポリシー

藤田医科大学医学部では、「独創的な学究精神を持った謙虚で誠実な医師の育成を使命とする」という理念のもと、卒業までに達成すべき能力を定めた「卒業時のコンピテンシー(卒業コンピテンシー)」に照らして、次のような資質・能力を備えた人物の入学を求めています。

  • (ア)藤田医科大学医学部および藤田医科大学病院の理念を理解し、その発展のために尽くす決意を持つ人
  • (イ)地域の健康と福祉に貢献する熱意を持ち、それに向けた努力を怠らない人
  • (ウ)職業人として長く社会に貢献する意思を持つ人
  • (エ)他の医療専門職と連携しながら、患者および地域住民の健康問題を解決するため、主体性を持って多様な人々と協働して学び、行動する姿勢を有する人
  • (カ)誠実で協調性に優れ、柔軟な心と広い視野を持ち、努力を続けられる人間性を備えた人
  • (キ)自律的に自らの健康管理、社会的規範の遵守ができ、計画的かつ多面的かつ慎重に判断できる人
  • (ク)以下に代表される、多面的で高い学力を有する人:

    英語:英語で記述された教科書や医学論文などを理解し、海外での臨床実習や国際的状況において十分なコミュニケーションが可能な基礎的英語力
    数学:論理的・数量的思考が十分可能であることを示す数学力
    国語:言語を通じた円滑な相互理解を進めるための国語能力と、創造的かつ論理的思考力
    理科:自然現象に対する関心や探究心、観察力・実験能力を伴う深い理解と科学的態度
    地理歴史・公民:多様な価値観を尊重し、平和で民主的な社会形成への資質と自覚に繋がる社会科の能力

性、人種、宗教、性的指向、社会経済的背景、身体能力の如何によって、入学に関する優先性が影響されることはありません。

1-4. 学費と奨学金制度(2026年度入学生向け)

2026年度入学生より、藤田医科大学医学部では学費の大幅な見直しが行われました。6年間の総額は 21,520,000円 で、従来の 29,800,000円 から 8,280,000円(約30%) の引き下げとなっています。

学費の内訳

年次 入学金 授業料 実験・実習・教材費 教育充実費 年間合計
初年度 1,500,000円 2,000,000円 500,000円 920,000円 4,920,000円
2〜6年次 - 2,000,000円 500,000円 320,000円 3,320,000円/年

奨学金制度

経済的な負担を軽減し、学業に専念できる環境を整えるため、藤田医科大学医学部では以下のような多様な奨学金制度が用意されています。

  • 医学部成績優秀者奨学金制度(無利子貸与、返還免除条件あり)
  • 学校法人藤田学園奨学金貸与制度(無利子貸与)
  • 藤田学園同窓会奨学金貸与制度(無利子貸与)
  • 愛知県地域枠 修学資金制度(無利子貸与、地域勤務により返還免除)
  • 日本学生支援機構(JASSO)第一種・第二種奨学金制度

2. 2026年度入試制度の概要

2-1. 選抜方式の一覧と主な変更点

藤田医科大学医学部では、以下の4つの選抜方式が実施されます。

  • 一般入試(一般枠・愛知県地域枠)
  • ふじた未来入試(一般枠/独創一理枠)
  • 帰国生・国際バカロレア入試
  • 共通テスト利用入試
主な変更点(2026年度 vs. 2025年度)
区分 2025年度入試 2026年度入試における変更点
一般入試・地域枠 前期:一般枠82名・地域枠5名
後期:一般枠5名・地域枠5名以内
後期試験を廃止し一本化。一般枠90名・地域枠7名以内に変更
二次試験日程 前期は2日間、後期は1日間 二次試験が最大3日間に延長
国際バカロレア入試 IB保持者のみ対象 「帰国生・国際バカロレア入試」に名称変更。IB資格がなくても出願可能に

2-2. 各選抜方式の詳細(出願資格・配点・試験内容)

2-2.1 一般入試(一般枠・愛知県地域枠)

  • 試験区分:一般入試
  • 募集人員:一般枠90名、愛知県地域枠7名以内
  • WEB出願期間(書類必着日):2025年12月8日(月)~2026年1月23日(金)(1月26日(月)必着)
  • 試験日:
    • 一次試験:2026年2月4日(水)
    • 一次試験結果発表:2026年2月10日(火)
    • 二次試験:2026年2月12日(木)または13日(金)または14日(土)
  • 合格発表日:2026年2月17日(火)
  • 試験会場:一次試験は東京・名古屋・大阪、二次試験は本学
  • 入試科目:

    一次試験

    • 英語:200点(90分)
    • 数学:200点(100分)
    • 理科:物理・化学・生物から2科目を選択、200点(120分)

    二次試験

    • 面接:40点(5段階評価)※提出書類を含む
  • 出願資格(要約):高等学校卒業(見込み)者、高卒認定合格者、外国で12年の課程修了者など。地域枠は愛知県出身等に関する要件あり(詳細は学生募集要項を確認)。

2-2.2 ふじた未来入試(一般枠/独創一理枠)

  • 試験区分:一般枠/独創一理枠
  • 募集人員:一般枠と独創一理枠あわせて12名
  • WEB出願期間(書類必着日):2025年10月1日(水)~11月1日(土)(11月4日(火)必着)
  • 試験日:
    • 一次試験:2025年11月9日(日)
    • 一次試験結果発表:2025年11月13日(木)
    • 二次試験:2025年11月16日(日)
  • 合格発表日:2025年11月19日(水)
  • 試験会場:本学のみ
  • 入試科目:

    一次試験

    • 英語:100点(90分)
    • 数学:100点(90分)
    • 小論文:40点(50分)
      ※英語・数学(計200点)で一次選考

    二次試験

    • 講義課題:60点
    • 面接(個人面接・グループディスカッション):150点
      ※小論文・講義課題・面接の計250点を200点に換算
  • 出願資格(要約):現役生であり、本学の将来の教育・研究・臨床分野に貢献する意志がある者。独創一理枠は藤田卒業生の2親等以内の親族。

2-2.3 帰国生・国際バカロレア入試

  • 試験区分:帰国生・国際バカロレア入試
  • 募集人員:若干名
  • WEB出願期間(書類必着日):2025年10月1日(水)~10月25日(土)(10月27日(月)必着)
  • 試験日:
    • 一次試験:2025年11月9日(日)
    • 一次試験結果発表:2025年11月13日(木)
    • 二次試験:2025年11月16日(日)
  • 合格発表日:2025年11月19日(水)
  • 試験会場:本学のみ
  • 入試科目:

    一次試験・二次試験の詳細は学生募集要項にて案内予定

  • 出願資格(要約):日本国籍または永住権を有し、海外での教育歴やIB資格を有する者。TOEFL iBTまたはIELTSスコアの提出が必要。年齢制限あり。

2-2.4 共通テスト利用入試

  • 試験区分:共通テスト利用入試
  • 募集人員:10名
  • WEB出願期間(書類必着日):2025年12月8日(月)~2026年1月16日(金)(1月19日(月)必着)
  • 試験日:
    • 一次試験(大学入試共通テスト):2026年1月17日(日)・18日(日)
    • 一次試験結果発表:2026年2月10日(火)
    • 二次試験:2026年2月12日(木)または13日(金)または14日(土)
  • 合格発表日:2026年2月17日(火)
  • 試験会場:二次試験は本学のみ
  • 入試科目:
    • 一次試験(大学入試共通テスト)

      国語(現代文のみ):100点

      外国語(英語〈リスニング含む〉):200点

      数学(「数学Ⅰ・A」「数学Ⅱ・B・C」):200点

      理科(物理・化学・生物から2科目選択):200点

      情報(情報Ⅰ):50点
      ※合計750点に換算

    • 二次試験

      面接:40点(5段階評価)※提出書類を含む

  • 出願資格(要約):高等学校卒業(見込み)者、高卒認定合格者、外国で12年の課程修了者など。

2-3. 入学試験に関する留意点

  • 「愛知県地域枠」は、将来、愛知県内の地域医療に従事しようとする強い意志をもつ愛知県出身者等(出願資格の詳細は学生募集要項を参照)を対象とした枠であり、一般入試と併願が可能です。合格後は所定の義務年限があります。
  • ふじた未来入試は、現役生のみを対象とした選抜方式で、総合型選抜に類する制度です。
  • ふじた未来入試の合格者は、原則として本学への入学が確約されます。ただし、国公立大学医学部医学科の総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜(前期日程)に限り、進学のための辞退が認められます(この場合、入学金を除く学費は返還されます)。
  • 独創一理枠は、本学(大学・短期大学)卒業生の二親等以内の親族を対象とした、いわゆる卒業生子女・兄弟枠に相当します。

3. 学年別アドバイス:受験準備の進め方

3-1. 高校1年生向け

医学部に入るためには、高校1年生のうちから以下のポイントを押さえて学習に取り組むことが重要です。

まずは高い学力を身に付けるために、授業に真剣に取り組み、定期的な復習を行いましょう。英語や数学に力を入れるだけではなく、広く歴史や地理などに関する基本知識を身に付けることが必要です。英語の長文ではそうした前提が必要となる英文が出題されています。

英語力を向上させるために、授業で提供される音声教材や発信型の英語に対応した教材も活用して、多面的な英語力を磨くこともおすすめです。また医学に関連する本やWebサイトを読んで知識を広めることも大切です。さらにボランティア活動や病院見学など、医療現場に触れる機会を増やし、医師の仕事や現実を理解することも意義があります。

3-2. 高校2年生向け

高校2年生は、本格的な受験準備のスタートラインです。普遍的な学力を土台とした基礎力の充実に取り組むことが大切であり、それをさらに意識的に積み上げていく姿勢が求められます。

  • 主要3科目の完成度を高める:英語・数学・理科すべてにおいて、基礎事項をバランスよく理解し、着実に運用できるようにしましょう。英語では、マヤ文明やヴァイキングの兜に関するような、地理・歴史に関する知識が前提となる題材も見られるため、幅広い教養を身につけましょう。
  • 医学部入試の情報収集:志望校の入試科目や配点、特徴的な選抜方式(MMIなど)について早めに把握しましょう。
  • 学習習慣の確立と模試の活用:予習や復習を欠かさず行い、定期的なテストや模試で自己の理解度を確認します。

また、引き続き医療に関連するボランティア活動や病院見学・研修プログラムに参加し、医療現場の実践的な経験を積むことが重要です。そこで得た体験を通して、自分の意志や目的を深めていきましょう。大学のオープンキャンパスにも積極的に足を運ぶことをおすすめします。

3-3. 高校3年生・既卒生向け

受験学年となる高校3年生、そして既卒生にとっては、限られた時間を有効に使いながら、藤田医科大学医学部の出題傾向に即した学習を進めることが重要です。

  • 藤田医科大学の出題傾向に合わせた対策:英語・数学・理科ともに標準からやや難レベルの問題が中心であり、時間配分や記述力が求められます。
  • 演習と過去問の活用:過去問題や模擬試験を繰り返し解くことで実践力を養い、苦手分野を集中的に克服しましょう。英語のリーディング・リスニング・英作文対策も忘れずに行うことが大切です。
  • 出願準備と面接対策:志望校の出願要件やスケジュールを早めに確認し、必要書類の準備を進めましょう。面接に向けては、出願書類の内容をふまえた問答練習を通じて、表現力や動機の明確化を図ることが求められます。

また、出願直前期や直後も含め、常に情報をアップデートしながら、冷静かつ計画的に受験勉強を進める姿勢が合格への鍵となります。

4. 2025年度 一般入試(前期)各科目分析と全体統括

2025年度藤田医科大学医学部の一般入試(前期)について、各科目の出題傾向と難易度、試験時間内での処理のしやすさなどを分析します。以下に、英語・数学・理科(物理・化学・生物)の科目ごとに詳細を示します。

4-1. 英語の出題傾向と分析

藤田医科大学医学部の英語は、試験時間が90分です。2022年度の入試からマーク式の大問が1題追加され、大問6題構成となっています。前半4問がマーク式、後半2問が記述式という混合型です。

例年、大問1は文法・語彙の4択問題、大問2は整序問題、大問3・4は長文総合問題、大問5は長文の要約や説明記述問題、大問6は和文英訳(長文中の下線部の英訳)です。2025年度もこの形式が踏襲されました。

2024年度と比べるとやや易化した印象であり、前半のマーク式でしっかりと点を稼ぎ、後半の記述式でどれだけ加点できるかが勝敗を分けるポイントとなりました。記述式長文問題は受験生にとって馴染みのないテーマが多く、その場で考える力が求められます。また説明に必要な記述力・要約力は国公立大学の二次試験レベルと言ってよいでしょう。

大問6の和文英訳については、幅広いテーマが出題されるようになっており、文中の表現を援用できる場合もありますが、本文全体に目を通す速読力が必要です。

藤田医科大学医学部は、私大医学部の中でも記述量が比較的多く、長文総合問題では医学関連のテーマに限らず、幅広い分野が扱われます。

全体として、情報処理力と記述力の有無で点差がつきやすく、マーク式・記述式双方へのバランスの取れた対応力が求められる試験です。

2025年度の英語の合格者平均点は124.3点(2024年度は131.2点)でした。

4-2. 数学の出題傾向と分析

藤田医科大学医学部の数学は、試験時間が100分で大問3題構成です。大問1はマーク式の小問集合(設問数は10題前後)、大問2・3は記述式の大問で構成されています。

出題範囲は数学I・II・III・A・B(数列)・C(ベクトル、平面上の曲線と複素数平面)で、幅広い内容が問われます。

大問1の小問集合では、整数、図形、数列、データの分析、微積分計算など、処理力や要領の良さが求められる問題が頻出です。なかでも、差が付きやすいデータの分析や微積分計算などが高頻度で出題されます。なお、マーク式の得点が「基準点」に満たない場合は不合格となるため、注意が必要です。

大問2・3は誘導形式の記述問題で、解法過程や論理展開が重視されます。「答えだけでは採点対象外」と明記されており、記述力が問われる内容となっています。頻出分野は微積分、確率、数列などです。2025年度は例年に比べて難易度が下がり、特に数学IIIの微積分からの出題が極端に少なかった点が特徴です。

2025年度の問題1はすべての設問で確実な得点が求められ、問題2は数学IIの典型的な微積分問題で完答が望まれます。問題3の整数問題は思考力を要するものの、高得点を狙いたい問題です。

2025年度の数学の合格者平均点は146.2点(2024年度は117.6点)で、前年より大幅に上昇しました。

4-3. 物理の出題傾向と分析

藤田医科大学医学部の物理は、例年「解答のみを記述する大問4題」で構成され、設問数はおよそ30問です。数値計算・グラフ作成・論述などが出題されることもあります。4題中2題は力学が出題され、そのうち1題は難易度が高いことが多いです。また、複数の分野にまたがる融合問題も見られます。全体として計算量が多く、入試ではあまり見慣れない問題が目立ち、難易度は高めです。目標得点は5割程度と他大学より低めです。

2025年度前期の設問数は31問で例年並。力学分野の大問4の後半には計算量の多い設問が並び、時間配分に悩まされた受験生も多かったと考えられます。標準的な設問から優先的に処理し、見慣れない問題や難問は後回しにする戦略が有効です。

2025年度の物理の合格者平均点は56.7点(2024年度は58.8点)でした。

4-4. 化学の出題傾向と分析

化学は例年、大問5〜7題で構成されますが、2025年度は大問5題の出題でした。全問記述式で、解答のみを記述する形式が基本です。

出題形式は選択問題、計算問題、構造式記述、描画問題、説明・論述問題など多岐にわたります。標準レベルの問題が中心ですが、設問数が多いために時間配分が難しく、思考力と作業効率の両方が求められます。

2025年度は、大問数が1つ減ったものの、計算量や記述量が増加しており、総体としては2024年度とほぼ同等の分量でした。第2問・第4問は経験値によって差がつく問題、第1問・第5問は思考力と要領の良さが問われる内容でした。

グラフ問題は第3問で選択肢形式として出題されました。頻出の出題形式であり、図表や実験操作への理解が問われます。単に計算ができるだけでなく、化学現象や手順の理解が重要です。合格を目指すうえでは、一次合格ラインとして65%の得点が一つの目標とされます。

2025年度の化学の合格者平均点は60.1点(2024年度は72.6点)でした。

4-5. 生物の出題傾向と分析

生物は例年大問3〜4題構成ですが、2025年度は2024年度と同様に3題構成でした。全問記述式で、論述問題、計算問題、描図問題など多様な形式が出題されます。

出題内容は教科書や図説に準拠した標準的な難易度の問題が中心ですが、高度な思考力を要する設問も含まれ、医学や生物学的考察が求められる傾向があります。頻出分野は、遺伝情報、体内環境、動物の反応、発生・生態など、医学に関連性の高い領域です。

2025年度前期では、「ヒトの生殖・心臓」「染色体の構造と変異」「酵素」などをテーマとした出題があり、いずれも典型題とは異なる視点からのアプローチが必要でした。教科書レベルの本質的な理解を踏まえた読解力・応用力が求められ、知識を柔軟に活用する力が問われました。

生物の得点力が一次合格に直結することも多く、普段から教科書的知識を深め、関連性を意識した質の高い演習を重ねることが重要です。例年は「個体群・生態系」などからの出題もあり、全分野を満遍なく準備しておく必要があります。

2025年度の生物の合格者平均点は57.5点(2024年度は65.9点)でした。

4-6. 2025年度一般入試(前期)の総合分析と学習対策

2025年度の藤田医科大学医学部一般入試(前期)は、出題形式に大きな変更は見られなかったものの、科目ごとに内容や難易度に特徴的な変化が見られました。

数学は、2025年度の合格者平均点が146.2点と前年の117.6点から大きく上昇しており、出題内容がやや易化したことがうかがえます。一方で化学は平均点が60.1点(前年は72.6点)と大幅に下落しており、記述量・計算量の増加が影響した可能性があります。英語・物理・生物はいずれも前年よりやや平均点が下がっており、難易度がわずかに上がったか、得点しにくい出題であったと推測されます。

受験者数は2024年度前期が1,766名、2025年度前期が1,495名と減少しましたが、合格最低点は334点から339点へと上昇しました。受験者数が減少する中でも合格最低点が上昇した背景には、数学の得点上昇(合格者平均点が117.6点から146.2点に上昇)といった科目別の得点傾向が影響していると考えられます。

出題形式に大きな変化がない中で、各科目での得点力を磨くことがますます重要です。とくに数学や理科での処理力・思考力、英語での読解力・記述力をバランスよく育てることで、合格ラインを突破する力を養うことができます。

今後の対策としては、過去問や演習問題を通じて出題傾向と時間感覚を把握し、各科目で求められる能力をバランスよく養成していくことが不可欠です。

5. 科目別対策と勉強法

5-1. 英語の勉強法と対策

英語では、マーク式と記述式の混合型に対応したバランスのよい力が求められます。文法・語彙や語句整序などの問題は、基本的に標準レベルの問題で構成されており、一部に難易度の高い問題が含まれています。マーク式の長文総合問題も標準的なレベルですが、素早く正確に回答することが重要です。速読スキルの向上が得点率を上げる鍵となります。

記述式の長文読解は例年、難易度が高く、解答に時間がかかりやすいです。また記述量も多めで、文脈を読み取って文中のヒントを捉えながら解答できるように対策する必要があります。英文和訳や和文英訳、要約などのトレーニングに取り組み、出題形式に慣れておくことが大切です。

藤田医科大学医学部は、私大医学部の中でも記述量が比較的多く、長文総合問題では医学関連のテーマに限らず、幅広い分野が扱われます。要約や説明問題の対策としては、自分で解答を作成し、添削指導を受けるなどして表現力を養うとよいでしょう。

和文英訳は、典型表現を覚えることも必要ですが、構文理解と論理的な表現力がものを言います。英文全体の構造をつかむ訓練も怠らずに。

5-2. 数学の勉強法と対策

数学では、大問1の小問集合での「基準点」突破がまず必須です。小問集合は標準レベルの問題で構成されていることが多いため、基本の定理や定義、公式などを確実に理解し、取りこぼさないようにしましょう。特に、難易度が低く取り組みやすい問題については、スピーディかつ正確に解答できる情報処理力と計算力が求められます。

一方で、難易度の高い問題が全体の半分程度を占める傾向にあるため、高い思考力を身につけるためのトレーニングも欠かせません。差がつきやすく、頻出する傾向にある整数、図形、数列、微積分、確率などの分野については、ハイレベルな問題にも対応できるよう重点的に取り組む必要があります。

記述式の大問では、結果だけでなく解答のプロセスも重視されます。典型問題の論理展開や証明の流れを自分の言葉で書く練習を積みましょう。標準〜やや難レベルの問題を中心に、手を動かして解答作成する訓練を重ねることが重要です。

2025年度は数学IIIからの出題が減少傾向にありましたが、今後再び増加する可能性もあるため、全範囲を偏りなく学習しておく必要があります。

5-3. 物理の勉強法と対策

物理は試験時間に対して設問数が多く、処理スピードがカギとなります。まずは力学・電磁気・熱力学を重点的に学習しつつ、苦手な分野を作らないよう全範囲をまんべんなく確認しておく必要があります。

作業量に対して解答時間が不足しやすい試験形式のため、まずは標準レベルで作業量の少ない設問を的確に取り切ることが得点率向上の鍵となります。そのうえで、難易度が高く作業量の多い問題に割ける時間を確保しましょう。

過去問演習では実際に制限時間を測定し、どの設問を優先すべきか、どの程度得点できれば合格ラインに届くかを体感的に把握しておくとよいでしょう。

5-4. 化学の勉強法と対策

化学では、問題数が多いため、標準的な難易度の設問については、時間をかけずに正確に処理するスキルが求められます。出題範囲も広いため、全体を網羅的に演習し、60分という限られた時間内でも詰まらずに解答できるよう、スムーズな処理力を養っておくことが重要です。

例年、理論化学や有機化学の問題が出題されているほか、実験に関する問題も出題されます。有名な実験器具や操作は把握しておきましょう。有機の構造推定は頻出分野でありながら、与えられる情報が限られているため、難易度が高めです。有機化学分野の出題比重が高い傾向にあるため、十分な習熟が必要です。

5-5. 生物の勉強法と対策

藤田医科大学の生物問題は出題分野が広範囲に及ぶ上、問題数も多い傾向にあります。苦手な分野を減らすためにも、頻出分野に限らず全体を網羅的に学習しておくことが大切です。

教科書や図説に載っている基本的な内容を正確に理解し、問題文や図表から素早く意図を読み取って応用する力が求められます。また、説明が必要な問題も出題されるため、蓄積した知識を自分の言葉で表現する力も重要です。

論述や描図問題では、語句の意味を正確に捉える力、記述の構成力、図の描き方などを意識した学習が効果的です。単なる暗記にとどまらず、「なぜそうなるのか」を意識しながら学習することで、本質的な理解と応用力を養うことができます。

6. 面接・MMI対策

6-1. 面接の形式と特徴

藤田医科大学医学部では、個人面接とMMI(Multiple Mini Interview)がともに実施されます。MMIは2回実施されるのが通例です。

個人面接の形式は1対1または1対複数で、所要時間は1回あたり10〜15分程度と比較的短時間です。質問内容にはアドミッションポリシーに関するものも含まれ、受験生の志望動機や人物像を把握するための問いがされます。

短時間の面接ではありますが、落ち着いて自分の考えを簡潔に伝える練習が必要です。事前にアドミッションポリシーをよく読み、自分の経験や考えと照らし合わせながら準備を進めましょう。

6-2. MMIとは?/準備方法と練習法

MMI(Multiple Mini Interview)は、複数の短時間の個別面接を順に受けながら、さまざまなテーマについての受け答えや判断を求められる形式の試験です。藤田医科大学医学部では例年2回実施され、1回につき数分の面接が複数回行われることになります。

それぞれの面接では、提示された状況やテーマに対する自分の考えを、その場で短時間で構成して伝える力が求められます。

対策としては、過去に出題されたテーマ例や想定される話題をもとに、自分の意見を短時間で整理し伝える練習を重ねることが効果的です。模擬MMIを通して、時間配分や表現力を高めていきましょう。

また、状況を的確に把握し、相手の立場を理解する姿勢や、論理的で誠実な受け答えを意識することが重要です。表面的な正解を探すのではなく、自分の言葉で考えを伝える力を養ってください。

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 藤田医科大学医学部の特徴は?

藤田医科大学医学部は、愛知県豊明市に所在し、1972年の開学以来、地域医療と高度先進医療の両立を目指して発展を続けてきました。大学附属病院は東海地方最大規模の医療機関の一つであり、高度救命救急センターや先端医療技術の整った設備環境のもと、臨床教育が行われています。

また、1年次から早期体験実習が導入されるなど、医療現場を意識した実践的なカリキュラムが特徴です。シミュレーション教育設備やICTを活用した学習環境も整備されており、現場力のある医師の育成に注力しています。

Q2. 藤田医科大学医学部の難易度はどれくらい?

藤田医科大学医学部の入試は、私立医学部の中では中位〜やや上位の難易度に位置づけられます。一般選抜では英語・数学・理科(2科目)による学科試験に加え、個人面接とMMI(Multiple Mini Interview)が課され、学力だけでなく人物面も総合的に評価されます。

さらに、2026年度入学生から学費の大幅な見直しが行われ、6年間の総額が 21,520,000円 となり、従来の 29,800,000円 から 8,280,000円(約30%)の引き下げとなりました。この学費削減により、志望者数の増加や合格最低点の上昇など、難易度が今後やや高まる可能性もあります。

したがって、受験を検討する際は、学力対策に加えて面接やMMIの準備も進めておくことが望まれます。

Q3. 藤田医科大学医学部の受験対策や勉強法はどうすればいい?

藤田医科大学医学部の一次試験では、まず英語と数学のマークシートの得点によって選抜が行われ、その後、筆記式答案を含めた英語・数学・理科の3教科の合計得点で最終的な合格者が決定されます。そのため、特に英語と数学のマークシート部分で確実に得点できるよう対策しておくことが重要です。

英語では、マーク式・記述式の両方に対応するために、語彙・文法・語句整序などの基礎力に加え、長文読解力や要約力、和文英訳力を高める必要があります。特に記述問題では、自分の言葉で表現する訓練を重ねることが効果的です。

数学では、小問集合での取りこぼしを避け、標準〜やや難レベルの記述問題に対応する力を養いましょう。整数・数列・微積分・確率など頻出分野への重点対策も欠かせません。

理科は出題範囲が広く、計算量や処理量も多いため、苦手分野をなくし、全体をまんべんなく学習することが求められます。物理では制限時間内での得点戦略を意識し、化学や生物では論述や図表の読解に対応できる力をつけておくとよいでしょう。

さらに、個人面接とMMIも実施されるため、論理的思考力やコミュニケーション力を問う質問への対応力を養うことも忘れずに準備しておきましょう。

8. まとめ:藤田医科大学医学部 合格への指針

藤田医科大学医学部の入試では、独自の選抜方法と幅広い出題形式に対応するための戦略的な準備が求められます。英語・数学・理科の3教科では、標準的な内容を確実に得点する力に加え、記述式問題への対応力や、時間配分を意識した実戦力が必要です。

また、個人面接とMMIが実施されるため、医療人としての資質を問われる場面にも備える必要があります。これらを踏まえ、基礎力の充実・応用力の養成・本番形式への慣れを意識して、学習を進めていきましょう。

特に2026年度入試では、学費の大幅な引き下げにより志願者増加が見込まれ、競争が一層激しくなる可能性があります。早期から情報を集め、適切な計画を立てて対策を行うことが、合格への第一歩です。

本記事が、藤田医科大学医学部合格を目指す受験生にとって、実践的な指針となることを願っています。

※ 記載内容は執筆時点の情報に基づきます。最新の出願要項・日程は大学公式サイトでご確認ください。

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