医学部受験一筋医学部進学予備校メビオ

岩手医科大学の傾向分析2021

2021年度一般入試問題分析

英語

新型コロナウイルス感染症対策のため、試験時間は60分から英語・数学合わせて120分へと変更されたが、出題内容・形式は2020年度とほぼ同じ。全問マーク式。大問1は伝統的な長文中空所補充形式で、それ以外の大問は旧センター試験の形式を踏襲している。大問4を除けば医学系の内容を含む出題で、それにまつわる語彙や知識があれば非常に取り組みやすくなっている。時間的な余裕はないので、現場での思考を要する大問1・大問4・大問6には必要以上に時間をかけず、60分で全問を解ききることができるように、取り組む順序・時間配分に注意したい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【長文総合】適語補充

「酸素濃度計の発明」に関する英文。文章中の5カ所の空所に対して選択肢から解答を選ぶ問題が2セットで、それぞれ名詞と動詞、形容詞と副詞で構成されている。

2 マーク ★☆☆☆

【発音・アクセント】語彙力

発音問題は全て母音について。アクセント問題も語尾のルールを押さえてえておけば解答は容易。

3 マーク ★★☆☆

【文法・語法】適語補充

5題。熟語・構文中心の問題。

4 マーク ★★☆☆

【会話】適文補充

会話文中の3カ所の空所に対して9個の選択肢から解答を選ぶ形式で状況読み取りは平易だが、文中や選択肢に慣れない慣用表現などが含まれており、現場での思考も必要。

5 マーク ★★☆☆

【短文】要旨・要約

4題。文章中から不要な一文を取り除いてまとまりの良い文を作る旧センター試験大問3Aと同じ形式の問題。全て医学・生物系の内容で、語彙や知識があれば解答は容易。

6 マーク ★★☆☆

【語句整序】和文なし

3題。7語句の整序で、1個おきに3カ所の空所に入る語句を選ぶ形式。分詞・分詞構文・関係詞などが含まれ、全体の文構造から解答を確定していく必要があるが、医学・生物系の語彙があれば解答は容易。

7 マーク ★★☆☆

【長文総合】同義語、内容一致

「来たるべきウイルス感染拡大に対する新たな国際協力の必要性」に関する英文。10題。素直な設問。段落挿入問題は出題されなかった。

数学

英語と数学合わせて120分となり時間配分に苦労した受験生も多かったようだ。数学は2020年度はやや易化していたが、2021年度は以前ほどではないがやや難化したと言える。しっかりとした基礎が積みあがっていないとなかなか得点に結びつかない出題となっている。数Ⅲの微積分で計算量が多い問題が出題されることが多い。2021年度は積分計算はなかったが、代わりに極限でしっかり計算をする出題があった。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【空間のベクトル】空間ベクトルの内積、関数の増減と極値、図形への応用

空間ベクトルの計算問題。等脚四面体を題材にしており、その知識があれば若干素早く解くこともできるが、知らなくても誘導に従って素直に計算していけば解ききることが出来る問題。今回の試験ではこの問題をしっかり取ることが必須。

2 マーク ★★★☆

【極限】平面図形

正多角形の面積や内接円の半径についての極限の問題。極限値が存在するための累乗の指数を求めさせる問題がやや難しいが、途中までは解いておきたい。

3 マーク ★★★☆

【確率】

「ビンゴ」に関する確率の問題で、ルールも通常の「ビンゴ」と同じ設定であったが、問題文の意味をくみ取るのに苦労した受験生も多かったようだ。確率の計算では、全事象を何にすればよいのか混乱しそうな問題の並びだったので、難易度は割と高めと言えるだろう。

化学

形式は2020年度と変わらず総マーク数も25のままだった。大問1および大問3がいくらか取り組みやすい内容になっていた分やや易化したと言えるが、変わらず高得点の取りづらい内容。特に3つの文章の正誤や3カ所の穴埋めの組み合わせを問う出題はここ数年の岩手医科大学で必ず出題される形式であり、知らない知識が一つあるだけで正答できなくなってしまうので、はまりこんではいけない。どの分野の出題においてもこの形式の出題があり、よほど知識の精度が高い受験生でなければ高得点は望めないので、時間を掛けずに取るべきところをミスなく取り切る要領の良さが求められる。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【小問集合】周期表、化学式、物質の構成、浸透圧、化学史、pH、触媒、弱酸の電離平衡

理論分野に関しての小問集合で、マーク数は8個。2020年度と比べると、3つの文章の正誤や複数箇所の穴埋めの組み合わせを問う出題の数が減った分、やや取り組みやすくなった。

2 マーク ★★★☆

【小問集合】1族、2族、3〜11族、14族、15族、16族、17族、18族

周期表の1族、2族、3〜11族、14族、15族、16族、17族、18族それぞれについての正誤問題の集合で、マーク数は8個。いずれの問題も3つの文章の正誤の組み合わせを問う出題であり、得点しづらい。

3 マーク ★★☆☆

【小問集合】有機化合物の化学式、有機化合物の構造、異性体、アルコール、油脂、ジアゾ化、有機化合物の抽出分離、タンパク質、糖類

有機分野に関しての小問集合で、マーク数は9個。2020年度と比べると、問われている内容の面でかなり取り組みやすくなっていた。

物理

難易度、問題量ともに2020年度からの大きな変化なし。マーク式移行以前より問題そのものの難易度は上昇したが、医学部入試としては標準的。2科目で120分の試験時間をちょうど使い切るくらいの分量。マーク式移行以前に比べると問題自体の難易度は上昇しているが、難易度も安定していて、受験生にとって取り組みやすい出題が多い。問題図と設問が別の見開きにある問題が複数ある。そのため、問題を解くときのページの行ったり来たりが頻繁になる。できれば実際の入試問題のレイアウトを再現したもので練習をしておきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【力学的エネルギー】運動量の保存

円筒形のくぼみを持つ台と小球の運動。小問8問に3つの設定「(水平成分の)運動量の和ゼロ」「運動量の和が非ゼロ」「壁による束縛あり」と詰め込み気味なので作業が忙しい。質量比をうまく利用して作業量を削減したい。

2 マーク ★★☆☆

【電磁気】電気回路、電磁誘導

2020年度から復活した岩手医科大学伝統の電気回路の問題。基礎事項を丁寧に問うタイプの問題が続く。ミス無く、完答に近い得点が欲しい。

3 マーク ★★☆☆

【原子】粒子性と波動性、原子とスペクトル

ボーアの原子模型の典型問題。冒頭のリュードベリ定数を値で答える問題は、問題中に与えられた数値から求めるが、ある程度覚えてもおきたい。最後の問題は、実は高度な物理学的内容がベースにあるが、単純にエネルギー・運動量から考えるのでよいだろう。

生物

内容は標準的だが「三毛ネコに関する遺伝」や「RNAウイルスの増殖のメカニズム」など高校生物では習わないようなテーマが散見され、内容以上に難しく感じてしまう受験生も多かったかもしれない。それらを除くと、基本〜標準レベルの問題が中心なので、それらで確実に得点したい。問題文が長く、かつ遺伝計算など時間を要する問題も出題されており、時間的な余裕はないと思われる。対策としては、正確な知識を身につけることはもちろん、普段から実験考察問題をしっかり読み、実験内容を理解する練習や、グラフが表す意味を正確に理解する練習をしておきたい。

大問 形式 難易度 内容
1 マーク ★★☆☆

【生物の体内環境の維持】ホルモンと内分泌腺、物質輸送とタンパク質

血糖調節の際のグルコース輸送体のはたらきについての考察問題は差がついたと思われる。

2 マーク ★★☆☆

【生物の環境応答】聴覚と聴覚器、視覚と視覚器

暗順応についての考察問題はやや難しかったが、他は基本問題ばかりであり、確実に得点しておきたい。

3 マーク ★★★☆

【生殖と発生】胚葉の分化と器官形成、伴性遺伝と限性遺伝

X染色体の不活性化を念頭におきながら伴性遺伝を考えていく必要があり、同様の問題を経験したことがあるかで大きく差がついたと思われる。

4 マーク ★★☆☆

【生物と遺伝子】細胞の大きさと形、減数分裂

1個の一次精母細胞から生じる精子の染色体の組合せを求める問題は、「1個」というところを読み飛ばした受験生が多かったであろう。

4 マーク ★★☆☆

【生命現象と物質】バイオテクノロジー

しっかりとリード文を読み、RNAウイルスの増殖のメカニズムを理解する必要がある問題はやや難しく、差がついたと思われる。

受験者数および合格者数推移

  受験者数 一次合格者数 二次正規合格者数 合格最低得点/満点 得点率
2021年度 2,097名 497名 136名 167/350 47.7%
2020年度 2,317名 546名 140名 188/400 47%
2019年度 2,834名 551名 249名 非公表 -
2018年度 3,253名 656名 186名 非公表 -

医師国家試験合格率推移

  全体 新卒
2021年度 89.6% 93.0%
2020年度 91.6% 95.5%
2019年度 74.1% 81.2%
2018年度 77.3% 81.7%

解答速報 公開直後にメールでお知らせ!

解答速報 公開直後にメールでお知らせ!