東海大学医学部の傾向分析2020
2020年度一般入試問題分析
英語
試験時間70分。大問構成・出題形式ともに例年と同様であった。文法・語法問題や長文問題は標準的なものがほとんどであり、実質的に大問7・8の記述問題で差がつく試験と言えるだろう。高得点域での闘いとなることが予想される。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 |
マーク |
★☆☆☆ |
【長文総合】内容一致、同義語 |
ノーベル賞を受賞した女性研究者バーバラ・マクリントックの伝記。文章・設問ともに平易。 |
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2 | マーク | ★☆☆☆ |
【適語補充】文法・語法 |
文法・語法に関連した適語補充問題。いずれも基礎的な出題である。 |
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3 | マーク | ★★☆☆ |
【語彙】同義語 |
類語選択。他の大問に比べると語彙レベルが高く、正面からだとやや難しいかもしれない。 |
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4 |
マーク |
★★☆☆ |
【会話】内容一致 |
2人の登場人物による会話文を読み、内容を把握する問題が2セット。文章・設問ともに平易。 |
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5 | マーク | ★☆☆☆ |
【文整序】 |
与えられた4つの文を適切な順番に並べ替える問題。ディスコースマーカーやthis/thatなどの指示語に着目すれば正答は容易。 |
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6 | マーク | ★☆☆☆ |
【ヴィジュアル】内容一致 |
グラフの情報をもとに与えられた要約文を穴埋めする問題。全問正答を狙いたいところ。 |
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7 | 記述 | ★★☆☆ |
【和訳】 |
宇宙への長期間の滞在が身体へ及ぼす影響に関する英文から、2箇所の下線部を和訳する問題。 |
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8 | 記述 | ★★☆☆ |
【英訳】 |
気候変動が農業へ及ぼす影響に関する英文から下線部を英訳する問題。細かな文法ミスなどに注意しつつ高得点を狙いたい。 |
数学
試験時間70分。難易度、問題量ともに大きな変化は見られない。大問数、出題形式も安定していが、大問の小問数が年度によって大きく異なることがある。全体的な計算量は、毎年大きく変化せずバランスがとれている。分野に大きな偏りは見られず、満遍なく出題されている。奇をてらった出題もほとんどなく、入試基礎〜標準レベルの入試問題に数多く取り組むことが一番の対策と言えよう。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 答のみ | ★★☆☆ |
【二次関数のグラフ】二円の位置関係、倍角・半角の公式 |
(1)2次関数のとり得る値、(2)2円の外接する条件、(3)半角公式の応用、(4)3元2次式の因数分解、(5)整式の割り算(整数)、(6)微分係数の定義。全体的に計算量も少なめで考え方が難しい問題ないので確実に得点したい。 |
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2 | 答のみ | ★★☆☆ |
【図形と方程式】不等式の表す領域、2曲線間の面積、領域と最大・最小 |
対数を含む不等式で表された領域に関する面積および最大・最小の問題。少し式の値が汚く、丁寧に解き進める必要がある。考え方はいずれも平易なので、丁寧に計算を進め確実に得点したい。 |
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3 | 答のみ | ★☆☆☆ |
【確率】 |
やや複雑な反復試行に関する問題。丁寧な場合分けを必要される問題も多く、試験時間内にすべてをやりきることは難しい。一部の問題をとりにいきたい。 |
化学
試験時間70分。日程や年度によっては大問数が5〜7に変化することもあるが、理論分野からの出題が大半な上に計算量が多く相当練習をしておかないと時間内に解き切るのは難しい。理論分野の中では固体の構造(結晶格子)と熱化学方程式は頻出分野である。特に熱化学方程式に関しては、かなりの数の方程式を連立させて解を導かせる問題が出題されることがあるため、東海大学を第一志望にする場合は、過去問などを利用して相当な練習を積んでおくことが望ましい。一方、無機・有機分野は平易であるからこちらは完答が望ましい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | マーク | ★★★☆ |
【原子の構造】放射性同位体、ラザフォードの放射線散乱実験 |
放射性同位体に関する出題である。問4は問題の設定をしっかり汲み取れたかどうかで大きく差がつく問題であり、やや難であった。 |
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2 | マーク | ★★☆☆ |
【電離平衡】溶解度積、モール法 |
溶解度積、モール法に関する出題である。モール法の原理を理解していれば難なく解答できる。 |
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3 | マーク | ★★☆☆ |
【熱化学方程式】ヘスの法則、ルシャトリエの原理、接触法 |
熱化学方程式に関する出題である。東海大学では熱化学方程式は頻出であるため、過去問演習をしっかり行った受験生にとっては平易である。 |
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4 | マーク | ★★☆☆ |
【アミノ酸】【ペプチド】グルタチオンの加水分解 |
グルタチオンに関する出題である。問3は条件不足により後日廃問になった。 |
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5 | マーク | ★★☆☆ |
【陰イオンの分離】陰イオンの分離、沸点上昇、加水分解定数 |
陰イオンの分離に関する出題である。試料の特定は難なくできるが、問5のpH計算は演習量で差がつく。 |
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6 | マーク | ★★☆☆ |
【電池】【構造異性体】鉛蓄電池、置換反応 |
鉛蓄電池およびアルカンの構造異性体に関する出題である。どちらも典型問題であり、完答を目指したい。 |
生物
試験時間70分。以前は選択や穴埋めが多かったが、近年は記述問題が増加している。論述や計算が頻出であり、描図も出題される。論述は15〜80字程度の字数指定がある。大問5題中3題ほどは基本的な内容を中心に問題が組まれるが、残りの2題にはやや高度な内容が含まれ、考察力が試されることが多い。対策としては日頃から偏りのない学習を心掛け、やや細かい知識にも注意を払うとよい。また、少ない字数で的確に表現する論述力、実験に対する考察力、図表を読み取る読解力、迅速で正確な計算力を身に着けて欲しい。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆ |
【生物の体内環境の維持】 |
体液の循環・循環系、酸素の運搬についての出題。計算あり。 |
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2 | 記述 | ★★☆☆ |
【生物の進化と系統】 |
進化の仕組み、一遺伝子雑種についての出題。計算、論述あり。 |
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3 | 記述 | ★★☆☆ |
【生物の環境応答】 |
植物ホルモンによる成長の調節、刺激に対する植物の反応についての出題。論述あり。 |
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4 | 記述 | ★★☆☆ |
【生殖と発生】 |
細胞分化・形態形成と遺伝子、形成体と誘導についての出題。論述あり。 |
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5 | 記述 | ★★☆☆ |
【生物の体内環境の維持】 |
生体防御とタンパク質、免疫についての出題。論述あり。 |
物理
試験時間70分。前半2題は記述式、後半2題はマーク式、問題数は両日とも20問と出題形式は例年通り。今年は「典型的なテーマ、標準的なレベル」からの出題が多く、ここ数年易化傾向にある。ただ、設問は一癖あり「誘導が少ない、設定が一般的でない」こともあるため「とっつきやすいが解いてみると意外に難しい」傾向は続いている。また、今年は両日とも同じくらいの難易度であったが、過去は試験日によるレベルの差が大きいこともあった。対策としては過去問の演習をしっかりとこなし、選択肢のクセや時間配分の感覚を身につけておくのが有効。
大問 | 形式 | 難易度 | 内容 |
---|---|---|---|
1 | 記述 | ★★☆☆ |
【力学】運動方程式 |
動滑車、慣性力についての出題。 |
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2 | 記述 | ★★★☆ |
【電磁気】電荷と電場 |
球殻コンデンサーについての出題。 |
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3 | マーク | ★★☆☆ |
【波動】薄膜の干渉、反射による位相変化 |
2枚のガラスの下面、上面で反射する光の干渉についての出題。 |
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4 | マーク | ★★★☆ |
【原子】粒子性と波動性 |
光子の圧力についての出題。 |
受験者数および合格者数推移
受験者数 | 一次合格者数 | 二次正規合格者数 | 合格最低得点/満点 | 得点率 | |
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2020年度 | 3,205名 | 339名 | 92名 | 非公表 | - |
2019年度 | 4,150名 | 387名 | 150名 | 非公表 | - |
2018年度 | 4,037名 | 391名 | 125名 | 非公表 | 82% |
2017年度 | 5,071名 | 392名 | 73名 | 非公表 | 84% |
医師国家試験合格率推移
全体 | 新卒 | |
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2020年度 | 90.1% | 93.2% |
2019年度 | 86.2% | 89.8% |
2018年度 | 84.6% | 84.4% |
2017年度 | 81.1% | 86.5% |